2622発達障害を人類学してみた
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第3章 現場としての学校くんは私が笑ったことが嬉しかったようで、「いつもお母さんにそう言われてるからね!」とまたも得意げに教えてくれた。そうしている間にも、友達は半泣きになりながら探す手を止めず、「三秒じゃないよ、一秒で僕の赤鉛筆なくしただろ……」と文句を言っていた。加藤くんは友達のこの言葉を面白そうに聞いていたが、友達はいまにも泣き崩れそうな様子だった。鉛筆は結局見つかって一件落着となったのだが、この出来事は、持ち物に対する責任感をめぐる、加藤くんとクラスメートの温度差を感じさせられたエピソードとして記憶に残った。子どもたちの持ち物は実際、見た目が似ているものが多かった。揃いの体操着や上履き、音楽の授業で使うハーモニカや算数キットなど、名前をよく確認しなければ誰のものかわからない。各自で家から持ってくる掃除用の雑巾も、ほとんど同じような見た目なので、加藤くんは掃除の時間いっぱいを自分の雑巾探しに費やし、クラスメートに「雑巾まだ見つからないの?しろよ」と急かされて、「もう全部同じに見えるからどれでもいいか……」と呟いていることもあった。給食着は持ち回りで一週間だけ自分の所有物になるので、なおのことハードルが高く、クラスメートが「私の給食着がありません」と言い出して皆で探していたら加藤くんが番号を間違えてその子のものを着ていた、ということもあった。物の管理についての学校の指導は、所有物にとどまらない。図工の時間のことだ。子どもたちは図工室では四人一班になって大きなテーブルを囲むように座っていた。そのテーブルの四早く掃除  89

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