2627リハビリテーション総論 改訂第4版
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1123 関節運動の方向を表現するために基本面と基本軸が規定される.関節運動の方向には,屈曲と伸展,内転と外転,内旋と外旋がある.X軸を運動軸として矢状面上で近づき合う運動が屈曲,遠ざかる運動が伸展,Y軸を運動軸として前額面上で身体の中心に近づく運動を内転,離れる運動を外転,Z軸を運動軸として水平面上で前面が内側を向く運動を内旋,その逆を外旋という.前腕の関節運動には回内と回外があり,肘を90°曲げた状態で手掌を下に向ける運動を回内,手掌を上に向ける運動を回外というZ軸X軸 骨と骨とが接合している部分を連結と呼び,接合部の状態によって線維性連結,軟骨性連結,滑膜性連結に分類される. このうち,滑膜性連結は内面を滑膜で覆われた関節包をもち,関節腔の中には関節擦の少ない運動を可能としている.滑膜性連結は他の連結に比べて大きな可動性を有しているが,特に球状形態の肩関節や股関節では自由度の大きな動きが可能である.通常,「関節」とは滑膜性連結をさしている. 四肢・体幹を動かしたときの関節の可動範囲のことを関節可動域(range of motion:まっており,筋力とともに筋・骨・関節系の運動機能評価の基本項目となっている. 一般に,ROMが制限された状態には,関節拘縮(contracture)と関節強直(anky-性麻痺のための不動,③関節自体の炎症,④熱傷後の皮膚瘢痕,⑤筋肉内への注射後や筋虚血後の筋萎縮,などがあげられる.また,高齢者では明らかな原因疾患がなく液(滑液)が存在する.また,骨同士が接する部位は関節軟骨が覆っており,非常に摩ROM)と呼ぶ.各関節によって関節運動の方向(図B-1-1)とそれぞれの可動域が決losis)がある.ROM制限を生じる原因としては,①骨折後の関節固定,②痛みや痙 線維性結合組織を介して骨と骨が接合している連結で,頭蓋骨の縫合などが代表である.連結部での動きは認められない. 骨と骨との間に軟骨組織が介在しているもので,恥骨結合や椎間板などが代表である.線維性連結と同様に,この部位での動きは非常に小さい. 関節形状によって許された運動方向の数は決まっており,球状関節のようにX軸Y軸Z軸の3方向の運動が可能な関節の自由度は3である. 関節周囲の組織(皮膚,筋,腱など)の変化によって生じた関節の運動制限のことである. 関節構成体(関節軟骨,関節包,靱帯など)自体の変化によって生じた関節の運動制限のことである.Y軸図B-1-1 基本面と基本軸136線維性連結軟骨性連結関節の自由度関節拘縮関節強直関節の構造関節可動域とは関節可動域の制限関節拘縮と関節可動域訓練

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