関節拘縮と関節可動域訓練45解剖学的肢位ROM測定の基本肢位137B-1ともROMが低下してくる.や筋力,協調性,姿勢などの影響を受けるので測定値の解釈には注意が必要である.❷ 他動的関節可動域(passive ROM) 力を抜いた状態で,他者によって関節を他動的に動かされたときの可動域のことをさす.正常では,自動的関節可動域に比べわずかに可動域が大きくなる.ROM測定は,関節の状態を客観的に評価する指標として利用されている. ROMを経時的に測定することで治療効果の判定や今後の治療方針の決定に役立てることもできる.また目標値を設定することで,患者の訓練に対するモチベーションを高めることにも役立つ.❷ 基本肢位 ROMを測定するには基本となる肢位を規定する必要がある.日本整形外科学会と日本リハビリテーション医学会によるROM表示ならびに測定法では,測定開始の基本肢位を0°として表示する方法を採用しており,この基本肢位は回旋運動など一部の運動を除くとおおむね解剖学的肢位(図B-1-2)に一致している.異なる点は,肩関節が外旋していないこと,ならびに前腕が回外していないこと,すなわち「気をつけ」の姿勢が基本肢位である.❶ 自動的関節可動域(active ROM) 自分の力で関節の運動を行ったときの可動域のことをさす.運動しようとする意思❶ 測定の目的 患者の機能障害を正確に評価することは,リハビリを進めるうえでの第一歩である. 関節可動域には,自動的関節可動域,他動的関節可動域の2種類がある. 目標を成し遂げるための「やる気」のことである.「モチベーションが上がる・下がる」とか「モチベーションを高める」などの言い方を用いる.図B-1-2 解剖学的肢位とROM測定の基本肢位ポイントモチベーション関節可動域の種類関節可動域の測定
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