2627リハビリテーション総論 改訂第4版
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脳性麻痺と発達障害12287C-13 脳性麻痺(cerebral palsy:CP)とは,胎児の時期から新生児(出生後4週まで)の間に起きた脳の非進行性病変による運動および姿勢の異常と定義されている.年齢とともに進行する麻痺や,一時的な麻痺,単に発達が遅れているだけのものは,脳性麻痺には含まれない.MRIによって脳奇形と診断された場合や遺伝性疾患と判明した場合なども脳性麻痺に含めない傾向にある. 脳の病変は非進行性であるが,身体の症状は変化しうる.変形を生じる危険性もある.麻痺は出生時には明らかでない場合もある.2歳の時点で健常な運動発達が得られていない場合には,脳性麻痺と診断される. 脳性麻痺の臨床病型は,①痙直型,②アテトーゼ型,③失調型,④弛緩型,⑤混合型に分けられる.出生直後はほとんどが弛緩型で,その後各型に変化していく.最も多いのが痙直型で,①四肢麻痺,②両麻痺,③片麻痺に分けられる.アテトーゼ型は新生児黄疸(核黄疸)に対する治療法の進歩によって近年激減した.表C-13-1に脳性痙直型上位運動ニューロンが障害を受けるもので,片麻痺,四肢麻痺,両麻痺などをひき起こす.脳性麻痺の約70%を占める.このタイプでは筋肉が硬くなって痙性麻痺となる.四肢麻痺が最も重症である.精神遅滞,痙攣,嚥下障害を伴うことが多い.両麻痺は通常,精神発達は正常であることが多く,痙攣がみられることも少ない.「はさみ足歩行」と「つま先歩き」が特徴である.片麻痺の約1/4は知能が平均より低めで,1/3に痙攣がみられるアテトーゼ型基底核に障害を受けるもので,不随意運動を起こす.脳性麻痺の約20%を占める.このタイプでは筋肉が不随意に動き,正常に制御できない.四肢と体幹がよじれるような動きを呈し,唐突でぎこちない.感情の変化が起こると不随意運動はひどくなり,睡眠中には消える.精神発達は正常で,痙攣は少ない小脳とその伝導路に障害を受けるもので,協調運動の障害を起こす.脳性麻痺の約10%を占める.動きの統制がとれず,動き自体もおぼつかない.速い動きや微妙な動きが不得手である.歩行時にふらついて脚が広く開く「失調性歩行」が特徴である痙直型+アテトーゼ型失調型混合型 両上肢の麻痺に比べて両下肢の麻痺が重度の場合をいう.上肢は実用手となる.頻度は最も高い.四肢麻痺では両上肢も重度の麻痺を呈する.多くは重度心身障害児である.表C-13-1 脳性麻痺の分類両麻痺脳性麻痺の定義脳性麻痺の分類脳性麻痺と発達障害13

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