2629看護・医療系スタッフのための質問紙作成ワークブック改訂第2版
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第2章調査現在ケース群コントロール群調査現在調査調査現在未来未来未来発生群非発生群11図2—1 横断研究における研究者の位置と調査実施時期図2—2 後ろ向き研究における研究者の位置と調査実施時期図2—3 前向き研究における研究者の位置と調査実施時期2.1 どのような研究で質問紙を使う?~研究目的と研究デザイン 過去情報収集過去過去 調査実施の回数や時期ですが,次の2つが考えられます.まず,「現時点」で発生している事柄の要因を現在,あるいは過去にさかのぼって特定することがあります.この場合,すでに発現,あるいは発生している事象を抱えたグループ(ケース群)と抱えていないグループ(コントロール群)を作り,そのグループ間の違いに影響を与える要因を後ろ向きに調べます.これを後ろ向き研究(retrospective study)といいます.具体的には,患者さんに,過去の生活状況を詳細にたずね,現在抱えている疾患との関連性を探索する調査が考えられるでしょう.当然のことですが,要因となる事柄は,事象発生,あるいは発現時期よりも時間的に後ろに起こることはありません.次に,時間と費用がかかりますが,ある疾病の発症に関連がありそうな要因に関する情報を「現時点」で得て,一定期間あけて疾病の発症などを確認しながら繰り返し調べたうえで,要因の特定をすることがあります.これを前向き研究といいます. 図2—2に後ろ向き研究,図2—3に前向き研究における時間軸上のみなさんの位置と調査実施時期を示します. ある介入を行い,その効果を検討する調査として,たとえば,現行のケアに加えて痛みのコントロールを実施し,実施前後の身体的な痛みの程度の変化を調べる調査,あるいは現行のケアのみを受けるグループ(対照群)と現行のケアに加えて心理教育的 3 介入効果の検討

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