診断と治療
最新の医学情報を最高の執筆陣でお届けする内科総合雑誌のパイオニア!
わが国の内科総合誌のパイオニアで,数ある総合誌のなかでも抜群の安定性と評価を誇る. 新進気鋭の編集委員を迎え,最新情報を盛り込み読みごたえ満点. 連載「視診で見抜く!皮膚疾患の診かた」「注目の新薬」など. 増刊号も毎回シャープな切り口と実際的な内容が大好評. 2色刷のビジュアルな誌面. |
2021年 Vol.109 No.1 2021-01-08
内科外来で見る急性腹症診療:見落とさないコツ
定価:2,860円(本体価格2,600円+税)
ねらい 今枝博之
◆診療のすすめかた
急性腹症症例に対する問診と身体診察のポイント 矢島知治
検査のすすめかた 岸野真衣子,他
見落としてはいけない画像所見 白神伸之
外科に相談したほうがよい病態・疾患 淺野 博,他
急性腹症診療ガイドライン2015のポイント 辻川知之
◆見落としてはいけない消化器以外の疾患
心・呼吸器疾患 吉田俊哉,他
血管系疾患 重松邦広
泌尿器科疾患 吉村一良
産婦人科疾患 橋本志歩,他
膠原病 天野宏一
内分泌代謝疾患 田中 肇,他
筋骨格神経疾患 中野弘康
◆消化器疾患
食道胃十二指腸疾患 松本健史,他
小腸疾患 細江直樹,他
急性虫垂炎 岡村幸重
大腸疾患 小澤俊一郎,他
肝胆道疾患 土岐真朗,他
膵疾患 新後閑弘章,他
手術をしてはいけない腹膜炎 草野 央,他
連 載
◎症例を俯瞰する総合診療医の眼
労作時の息切れで来院した72歳男性 蒸野寿紀,他
◎医療裁判の現場から
エコーガイド下での経皮的肝生検の際,肺を誤穿刺され脳空気塞栓症をきたし,左片麻痺等の後遺障害が残ったとして紛争となった事例 笹山桂一
急性腹症は一般内科外来でよく遭遇するものの,外来で対応できる軽症例から緊急手術が必要なcriticalな重症例まで幅広く,また,原因となる疾患も消化器疾患のみならず産婦人科疾患,泌尿器科疾患,心血管系疾患,整形外科疾患,精神科疾患など多岐にわたるため,いまだに診断や対応に難渋することもしばしばみられます.現在でもなお診断過程に医療面接と身体診察はきわめて重要ですが,最近では血液検査や超音波検査,CT検査などを緊急で施行が可能な体制が整っている施設も多くみられることから,診断が比較的容易となってきております.しかし,実地診療に携わる診療所ではCTの施行が困難なことも多く,中核病院への紹介などの見極めも重要となります.一方でCTを安易にオーダーする頻度も多くなっており,被曝の問題も懸念されるところです.
そこで今回は,内科外来でみる急性腹症を特集して,まずは診療のすすめかたとして医療面接や身体診察による診断へのアプローチや検査の進めかたから,見落としてはいけない画像所見,外科に相談したほうがよい病態・疾患,急性腹症診療ガイドラインのポイントを解説していただきました.次に見落としてはいけない消化器以外の疾患として心・呼吸器疾患,血管系疾患,泌尿器科疾患,産婦人科疾患,膠原病,内分泌代謝疾患,筋骨格神経疾患を先に解説していただきました.その後に消化器疾患である食道胃十二指腸疾患,小腸疾患,虫垂炎,大腸疾患,肝胆道疾患,膵疾患,さらには手術をしてはいけない腹膜疾患を項目ごとにわかりやすく解説していただきました.
急性腹症の診療は1日では習得困難で永遠の課題ですが,本特集が購読していただきます諸先生方の,明日からの日常診療の一助となりましたら幸いに存じます.
埼玉医科大学消化管内科
今枝博之