小児科診療
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連載「Photo Quiz」ではビジュアルに画像診断のポイントを解説.
2024年 Vol.87 No.8 2024-07-12
公費補助制度を使いこなす!
定価:6,820円(本体価格6,200円+税)
序 文 石毛美夏/加藤元博
Ⅰ.総 論
小児に対する医療費助成制度の歴史と課題 /儘田光和
乳幼児・子ども医療費助成 /掛江直子
育成医療・更生医療 /平良勝章
養育医療 /武田充人
小児慢性特定疾病 /盛一享德
指定難病 /西條晴貴
予防接種および感染症にかかわる費用助成制度 /峯 眞人
生活保護法・児童福祉法(措置医療) /鈴木 彩
移行期支援にかかわる支援事業 /窪田 満
医療費以外の給付事業・支援事業 /澤 恭弘
相談窓口 /佐藤 杏
障害者手帳(身体障害者手帳,療育手帳,精神障害者保健福祉手帳) /城戸貴史
医療ソーシャルワーカーの役割 /丸山昌子
Ⅱ.各 論
白血病・リンパ腫(急性リンパ性白血病,急性骨髄性白血病,悪性リンパ腫) /髙地貴行・他
固形腫瘍 /山田悠司
微小変化型ネフローゼ症候群 /白井陽子・他
IgA腎症 /秋岡祐子
気道狭窄 /肥沼悟郎
慢性肺疾患 /桐戸雄紀
気管支喘息 /稲毛英介・他
ファロー(Fallot)四徴症 /住友直文・他
心室中隔欠損 /廣野恵一
川崎病 /深澤隆治
成長ホルモン治療 /佐藤真理
甲状腺疾患 /岩山秀之
性分化疾患 /辻 敦美
Ca,P代謝異常,くる病 /池側研人・他
ゴナドトロピン依存性思春期早発症 /市橋洋輔
ターナー症候群 /川井正信
若年性特発性関節炎 /水田麻雄
全身性エリテマトーデス /清水正樹
皮膚筋炎/多発筋炎 /岸 崇之
1型,2型糖尿病 /田嶼朝子・他
アミノ酸代謝異常症(フェニルケトン尿症等) /小川えりか
ミトコンドリア病 /志村 優
ライソゾーム病(ムコ多糖症II型等) /角皆季樹
血友病(先天性血液凝固因子欠乏症) /長江千愛
免疫性血小板減少症(免疫性血小板減少性紫斑病,特発性血小板減少性紫斑病) /森 麻希子
再生不良性貧血 /平林真介
原発性免疫不全症(X連鎖無ガンマグロブリン血症等) /金兼弘和・他
慢性活動性 EB ウイルス病 /矢田裕太郎・他
点頭てんかん(ウエスト症候群) /伊藤 進
もやもや病 /荻原英樹
レノックス・ガストー症候群 /宮本雄策
多発性硬化症 /梶原健太・他
筋ジストロフィー /齊藤利雄
脊髄性筋萎縮症(SMA) /本橋裕子
胆道閉鎖症 /古賀寛之
潰瘍性大腸炎 /加藤 健・他
クローン病 /清水泰岳
ダウン症候群 /大場大樹
18トリソミー症候群 /西 恵理子・他
マルファン症候群 /森崎裕子
レックリングハウゼン病(神経線維腫症Ⅰ型) /松尾宗明
先天性魚鱗癬 /加藤 塁・他
軟骨無形成症・低形成症 /大薗恵一
骨形成不全症 /望月 弘
低ホスファターゼ症 /磯島 豪
遺伝性出血性末梢血管拡張症(オスラー病) /岩朝 徹
リンパ管腫/リンパ管腫症 /小関道夫
子ども虐待 /小橋孝介
神経発達症 /大谷良子
Ⅲ.附 録
小児慢性特定疾患情報センター疾病名一覧および対応する指定難病 /石毛美夏
石毛美夏 /日本大学医学部小児科学系小児科学分野
加藤元博 /東京大学大学院医学系研究科生殖・発達・加齢医学専攻小児医学講座
小児には公費による医療費の補助制度や行政による支援事業があります.難病や困難に立ち向かう子どもたちを広く社会で支えるためには医療と支援が両輪となることが必要であり,施策の積み重ねにより充実した制度や事業が実施されています.これらは子どもたちに良質の医療を提供し,子どもとその家族に支援を適切に届けるためには欠かせないものです.しかし,医療の高度化・複雑化に伴い多くの制度・事業が必要となった結果,体系的な知識を得る機会がないままon the job trainingで手探りしているのが現状ではないでしょうか?
本特集では,前半部分では総論として小児医療に関連するおもな公費補助制度や支援事業についてその概要や役割を解説していただき,さらにはこれらの制度や事業の根拠となる規則・法律についても取り上げました.また,医療制度や支援制度を活用するための窓口や医療ソーシャルワーカーの役割についてもふれています.
後半部分では,小児慢性特定疾病の各疾患群で申請頻度が高いものを中心に,現在の小児医療で注目すべき疾患の概要と支援策について,小児慢性特定疾病や指定難病を申請する際の要件,医療費助成以外に使用可能な公的支援制度などを中心に,小児期のみならず成人期も含めての医療と支援について解説していただきました.さらに,小児慢性特定疾病の支援対象ではない,児童虐待や神経発達症に関する支援とその課題についても取り上げています.
附録として,2024年4月時点における小児慢性特定疾病の各疾患名と指定難病名との対応表を掲載しました.医学の進歩により,小児期を乗り越えた後,成人期も治療を継続する必要がある患者が増えています.病気によっては病気の進行や合併症により小児期以上に医療費がかかる場合もあり,成人移行支援において患者の自律・自律支援を語るときに,経済的基盤の強化として指定難病の申請は重要なステップです.小児慢性特定疾病による支援が終了した後も指定難病として医療費をはじめとした支援が受けられるのか,早見表としてお使いいただければと思います.
医療従事者や関係者が小児医療における実務に役立つ知識と情報を得ることができるよう,具体的な事例や現場での活用方法にも焦点を当てています.小児医療の充実は未来を担う子どもたちの健康と直結しており,これにより家族全体の生活の質も向上します.このような包括的な取り組みが,小児医療の質を一層高め,子どもと家族の負担を軽減することにつながります.みなさまのお手元で長く役立つ特集になることを期待しています.