2584帯状疱疹診療Q&A
10/14

swer3A帯状疱疹の基礎知識(Imafuku S, et al: J Eur Acad Dermatol Venereol 2014; 28: 1716-1722より改変)00nⅠ率存残痛疼27図3 ファムシクロビル錠投与患者における帯状疱疹後神経痛(PHN)の残存率 (FAMILIAR study)層別解析表1 帯状疱疹後神経痛(PHN)発症のリクスファクター発疹[2.63(1.89〜3.66)],眼部病変[2.51(1.29〜4.86)]などでPHN発症リスクが大きく増加した.高齢はPHNと有意に関連(年齢10年増加当たりのリスク比の推定値 1.22〜3.11)していた.性差の結果は論文ごとに結果が割れ,研究間の異質性がかなりあった.一部の研究では,重度の免疫不全および糖尿病によりPHN発症リスクが増加していた.全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus: SLE),最近のトラウマ,パーソナリティ障害症状は単一の研究でPHNと関連していたが,うつ病(n=4)およびがん(n=5)ではPHN発症リスクが高いというエビデンスは認められなかった.表1にPHN発症のリスクファクターを示す.一方,小児帯状疱疹ではPHN はぼみられない.PHNの本態は神経障害性疼痛である.神経障害性疼痛の特徴として,刺激には依存しない自発的な疼痛(自発痛)や通常では無害で軽微な機械的刺激(触刺激)により惹起される痛み[誘発痛,アロディニア(allodynia)]の存在があげられる.実際,「しびれるような」,「焼け付くような」,「締め付けられるような」といった持続性の痛みや,「電気が走るような」,「刃物で刺されたような」と表現される間欠性の痛み,さらにアロディニアでは手や衣服が触れたり風に当たったりするだけでも激痛が生じるなど,患者のQOLや日常生活動作(activity of daily life: ADL)を著しく低下させる.また,PHNの痛みは,①感覚低下やアロディニアが少ないもの,②痛覚と温覚が障害されているが,軽い刺激により激しい疼痛が引き起こされアロディニアが認められるもの,③痛覚過敏やアロディニアは認められないが,激しい自発痛があるものの3つの病態に分類されるとするものもある.PHN患者の訴えもこれらの痛みを反映した独特な表現が多く存在する(表2).また.筆者の患者だが,三叉神経第2枝の帯状疱疹発症後にアロQuestion 7 帯状疱疹後神経痛(PHN)とは?疼痛に関する解析対象症例(■=695):65歳未満(■=447):65歳以上(■=248)log-rank test:■<0.0001・高齢・前駆痛・初診時の強い痛み・初診時の重症の皮疹・治療開始の遅れ・急性期からの知覚過敏,知覚低下・基礎疾患(免疫不全,糖尿病等)(%)1005019日27日306090120150180210240270300330360ファムシクロビル錠投与開始からの日数7%2%PHNの痛みの特徴

元のページ  ../index.html#10

このブックを見る