2588先天代謝異常症クリニカルファイル
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で中等度の僧帽弁閉鎖不全を認める.1Ia:特異顔貌,頭囲拡大,b:背中から臀部にかけての広範な濃青色の蒙古斑.◦顔貌: 頭囲拡大45.3 cm(+2 SD以上),特異◦胸部: 心雑音なし.脈拍整,心臓超音波検査◦腹部: 平坦で肝脾腫を認めない.◦皮膚・眼・耳: 背中と臀部を中心に広範かつ濃色の蒙古斑を認める.両眼の角膜混濁を認める.水晶体・視神経の異常および網膜色素変性なし.眼振は明らかではない.扁桃・アデノイド肥大なし,中耳炎なし,難聴なし.血液検査所見(初診時): 異常値を認めない(表1).1.診断にあたって着目した所見 角膜混濁,特異顔貌,広範な蒙古斑.主訴: 角膜混濁,特異顔貌,頭囲拡大,広範な蒙古斑.現病歴: 生後4か月時に水平様眼振を主訴に総合病院小児科を受診し,先天性眼振として経過観察されていた.生後5か月時に同院眼科を精査のため受診した際に両眼の角膜混濁を指摘された.過成長(身長および体重:+1 SD,頭囲:+2 SD),特異顔貌(図1a),広範な蒙古斑(図1b)を認めることからムコ多糖症(muco-polysaccharidosis: MPS)が疑われた.生後7か月時にMPSの診断を目的に当センターを紹介された.臨床所見: ◦全身: 身長68.8 cm(+1 SD),体重8.02 kg(+1 SD),関節拘縮なし,亀背なし,鼠径・臍ヘルニアなし,精神運動発達遅滞は明らかでない. 生後7か月の女児.生後5か月時に近医眼科で眼振精査の際に角膜混濁を指摘された.特異顔貌,頭囲拡大,広範な蒙古斑などを認めたため(図1),総合病院小児科でムコ多糖症(MPS)が疑われ,精査のため当センターを紹介受診した.顔貌(鼻根部平坦,鞍鼻,太く濃い眉毛).aabb図1特徴的な臨床所見初診から精査開始までの経過確定診断までの経過受診契機236II精査開始から ムコ多糖症I型

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