2591腎臓内科レジデントマニュアル 改訂第9版
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5おもな糸球体疾患の特徴・治療方針 1 総論 糸球体疾患には,①臨床所見から判断する臨床症候分類と,②腎組 織から判断する組織分類,③病因から判断する病因分類,の3つがある.たとえば順に,①慢性腎炎症候群,②メサンギウム増殖性糸球体腎炎,③IgA腎症,といった分類となる.3つの分類を総合的に判断して,最終診断名を決める. 組織分類は,①原因不明で腎のみに病変が限局する原発性(一次性あるいは特発性)と,②全身疾患に伴って起こる続発性(二次性),とに大別される(表5-1).ただし,抗PLA2R(膜型ホスホリパーゼA2受容体)抗体陽性の膜性腎症のように原因が明らかとなった腎限局疾患は現在,一次性としているが,二次性にすべきという意見もある. 臨床症候分類と組織分類は,必ずしも1対1に対応するわけではない(表5-2).しかし,各臨床症候分類のなかで占める各組織像の頻度から,急速進行性糸球体腎炎(RPGN)ならば半月体形成性糸球体表5-1  原発性糸球体疾患の臨床症候別および組織別のWHO分類糸球体疾患の臨床症候分類原発性糸球体疾患の組織分類1061.急性腎炎症候群2.急速進行性糸球体腎炎3.反復性または持続性血尿4.慢性腎炎症候群5.ネフローゼ症候群1.微小糸球体病変2.巣状分節性病変3.びまん性糸球体腎炎 a.膜性糸球体腎炎(膜性腎症) b.増殖性糸球体腎炎  1)メサンギウム増殖性糸球体腎炎  2)管内増殖性糸球体腎炎  3)膜性増殖性糸球体腎炎  4)管外増殖性糸球体腎炎(半月体性糸球体腎炎) c.硬化性糸球体腎炎4.分類不能の糸球体腎炎(1995年)

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