2591腎臓内科レジデントマニュアル 改訂第9版
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1 概念 糖尿病による腎障害は,高血糖などによる最小血管障害である神経 障害や網膜症とともに,糖尿病の3大合併症に数えられる. Diabetic kidney disease(DKD)の語訳として,関連学会から「糖尿病関連腎臓病」を用いることが示された. 糖尿病性腎症の透析導入は,透析患者全体の約40%を占め,新規導入症例の原因第1位である1). 糖尿病関連腎臓病は,アルブミン尿の増加とともに腎機能が低下する典型的な糖尿病性腎症に加えて,顕性アルブミン尿を伴わないまま推算糸球体濾過量(eGFR)が低下するような非典型的な症例も含めた概念である(図10-1)2). 典型的な糸球体病変は,早期から認められるびまん性病変などに加え,蛋白尿の進行した症例でみられることが多い結節性病変やメサ228DKDは典型的な糖尿病性腎症に加え,顕性アルブミン尿を伴わないまま推算糸球体濾過量(eGFR)が低下する非典型的な糖尿病関連腎疾患を含む概念である.さらに糖尿病合併慢性腎臓病(CKD)は,糖尿病と直接関連しない腎疾患〔IgA腎症,多発性囊胞腎(PKD)など〕患者が糖尿病を合併した場合を含む,より広い概念である.DKDと糖尿病性腎症はCKDの重症度分類と,糖尿病性腎症病期分類によって明確に分類されるが,腎生検なしに糖尿病の関与を推測するのが困難な場合があるため,その範囲は破線で示した.〔日本腎臓学会(編):エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018.東京医学社,2018:1042)より一部改変〕CKD with diabetes(糖尿病合併CKD)Diabetic kidney disease : DKDDiabetic nephropathy(糖尿病性腎症)(糖尿病関連腎臓病)図10-1 糖尿病関連腎臓病(DKD)の概念図10糖尿病関連腎臓病

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