表10-1 腎症の早期診断基準尿蛋白陰性か陽性(+1程度)の糖尿病患者尿中アルブミン値30~299 mg/gCr3回測定中2回以上30~299 mg/24 hrまたは20~199μg/分1.測定対象2.必須事項3 参考事項 2 診断 糖尿病性腎症の診断は,微量アルブミン尿の出現によって行う(表 10-1)3). 尿アルブミンの測定は糖尿病性腎症の病期分類(表10-2)4)にも含まれており,尿アルブミンを測定しなければ糖尿病性腎症の早期診断,病期分類は不可能である. 糖尿病による腎障害を推測するポイントを以下に示す. ① 糖尿病の罹病期間が少なくとも5年以上存在すること. ② 網膜症や神経障害といった合併症が存在すること. ③ 早期症例においては血尿が存在しないこと(進行例では約40%に糖尿病関連腎臓病22910【注意事項】① 高血圧(良性腎硬化症),高度肥満,メタボリック症候群,尿路系異常・尿路感染症,うっ血性心不全などでも微量アルブミン尿を認めることがある.② 高度の希釈尿,妊娠中・月経時の女性,過度な運動後・過労・感冒などの条件下では検査を控える.後日,必ず上記定量法で確認する.③ 定性法で微量アルブミン尿を判定するのはスクリーニングの場合に限り,④ 血糖や血圧コントロールが不良な場合,微量アルブミン尿の判定は避ける.〔猪股茂樹,他:日本腎臓学会・日本糖尿病学会糖尿病性腎症合同委員会報告 糖尿病性腎症の新しい早期診断基準.日腎会誌2005;47:7683)〕尿中アルブミン排出率尿中Ⅳ型コラーゲン値7~8μg/gCr以上腎サイズ腎肥大ンギウム融解病変などが知られている. 早期腎症の診断には,微量アルブミン尿の同定が重要である. 腎機能低下速度が速いrapid declinerといった症例の存在も知られている. 蛋白尿が増加しないまま腎機能が低下する症例においては,腎硬化症にも共通する病理所見が多くみられることも報告されている.血尿を伴う).
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