2.ステロイドパルス療法の適応症例 1・ 大腿骨頭壊死〔SLEのステロイド治療中に多い,自覚 活動性の高い症例. 半月体形成性腎炎. 薬物療法が無効な症例,副作用で薬物療法が十分施行できない症例. IgA腎症における扁桃摘出術の後療法としてのステロイド治療には,パルス療法を組み合わせる.回数や量に関しての指針はない. 膠原病では,体外循環による抗体の除去にパルス療法を併用すると効果的である. 1回のパルス療法で効果が不十分な場合は,2~3回繰り返すことが表35-1 副腎皮質ステロイドの副作用とその対策腎疾患治療薬の使い方のコツ副腎皮質ステロイド分 類副作用58335FDP:フィブリン・フィブリノゲン分解産物,SLE:全身性エリテマトーテス比較的短期間で発症し,重篤になりやすい比較的長期間の投与で発症その他・ 感染(投与前に歯科・耳鼻科受診,30 mg/日まで原則,・ 潰瘍(便潜血チェック,腹部症状問診)・ 糖尿病(検尿,昼食後2時間の血糖値チェック) ➡異常があれば血糖日内変動(daily profile)の確認・ 血栓症(ネフローゼ症候群ではとくに注意が必要,FDP,D-dimer,下肢の左右差の確認)・ 精神症状(不眠が多い,喜怒哀楽が顕著に,ステロイド・ 緑内障(投与前および入院中に眼科受診)・ 骨粗鬆症(入院中および1年に1回骨塩定量を行う,プレドニゾロン換算5 mg/日以上を3か月以上使用する場合は,予防的に投薬治療を行う)・ 白内障(入院中に眼科受診)・ 服用自己中断による急性副腎不全(発熱・消化器症状)・ 満月様顔貌,中心性肥満,皮膚線条・ 白血球(好中球)増多・ 痤瘡・ 多毛・ 月経異常・ 高血圧・脂質異常症・動脈硬化・ de novo B型肝炎外泊禁止,血清IgG測定)減量を検討)症状(股関節の痛み)があればMRIにて評価〕 漸減は最初速く,内服量が減少してきたら緩徐に行う.とくに頻回再発型の微小変化群では慎重に行う. 再発や再燃がなければ約2年で離脱できる(糸球体腎炎).
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