C図38 A :腫大した胎盤. B :絨毛はびまん性に腫大している. C :胎児赤芽球症.絨毛内血管には多数の有核赤血球を認める.96AB血液型不適合妊娠(免疫性胎児水腫)Ⅲ章 単胎胎盤のみかた・調べかた症:erythroblastosis fetalis).Rh(D)不適合妊娠によるものが最も多いが,ほかの血液型でも生じる.産後の抗Rh(D)ヒト免疫グロブリン投与により,母親の抗体産生が予防されるようになり,この型の胎児水腫はまれになっている(図38). 非免疫性胎児水腫(nonimmune hydrops fetalis)は心奇形,胎児腫瘍,胎児貧血,母児間出血,双胎間輸血症候群,胎児感染症,胸腔内病変,染色体異常など様々な原因で生じる.胎盤にも絨毛の水腫状変化が認められる(図39). これとは別に絨毛間質にリンパ管様に拡張した腔が認められることがある.これらの腔は免疫組織化学にてリンパ管内皮マーカーであるD2‒40が陽性となるが,胎盤には,毛細血管より漏出した間質液を血管に戻す系としてのリンパ系は存在しないため,リンパ管という表現は不適当である.
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