第Ⅰ章心血管系の構造,発生と生理学abc②③④A細い(アクチン)フィラメント太い(ミオシン)フィラメントコネクチン/タイチン太い(ミオシン)フィラメント①I 帯トロポニンTミオシントロポニンCトロポミオシンミオシン重鎖頭部軽鎖Z帯H 帯I帯A帯筋節(サルコメア)H 帯M帯Z帯I帯M帯A 帯13❸細いフィラメント(アクチンフィラメント) 細いフィラメントの太さは約8 nm,長さは約1.0μmである.数球状にG‒アクチン蛋白質が重合し,2本のフィラメントがらせん状に絡まってF‒アクチンとなる(図3).G‒アクチン蛋白質にはミオシン結合部位が存在する.細いフィラメントのZ帯側にはα‒アクチニンが結合し,細いフィラメントをZ帯につなぎ止めている.トロポニン複合体は3つのトロポニン分子(C,I,T)からなり,筋肉が収縮する際のカルシウム(Ca)調節に重要な役割を担う.トロポニンCにCa2+が直接結合する.トロポニンIはアクチンがミオシンへ結合するのを抑制している.トロポニンTはトロポミオシンと結合し,トロポニン複合体c: ①細いフィラメントのみを認める,②太いフィラメントのみを認める,③太いフィラメントにマイオメシンが連結し支持している,④1本の太いフィラメントを6本の細いフィラメントが取り囲んでいる.図2 筋原線維の模式図a: 筋原線維を光学顕微鏡で観察すると,明るくみえる部分(明帯:I帯)と暗くみえる部分(暗帯:A帯)が交互に繰り返し,横紋とよばれる縞模様がみられる.I帯には細いフィラメントのみが存在する.その中央部には暗調の横線がみられ,Z帯とよばれる.トロポニンIアクチンミオシン重鎖尾部を一定間隔(25~30 nm)でF‒アクチン上に配置する.トロポニン複合体は心筋が障害をうけたときに容易に筋原線維から解離するため,臨床上,血液中に遊離したトロポニンTやIを測定することによって,心筋障害の程度を判定することに役立っている.トロポミオシンは長さ40 nm,幅1.5~2 nmで,細いフィラメントが作るらせん状の溝にそってアクチンに結合し,F‒アクチンの構造を安定化している.❹筋原線維を支持する構造蛋白質および細胞骨格蛋白質 規則正しい構造パターンを安定させ,さらに筋肉特有の収縮弛緩において伸展性や弾力性を保つために,心筋細胞には20種類以上の構造蛋白質が存在する.その中でも重要なのは,タイチン(別名コネク図3 筋原線維を構成する蛋白質太いフィラメントは相同的な2本のミオシン重鎖と4本のミオシン軽鎖のポリペプチド鎖からなる複合体である.また,線維状のF—アクチンにトロポニン複合体,トロポミオシンが結合した複合体が細いフィラメントである.
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