表1 臨床分類第1群 肺動脈性肺高血圧(PAH)1.1特発性(IPAH) 1.1.1血管反応性試験陰性 1.1.2血管反応性試験陽性1.2遺伝性(HPAH)1.3薬物・毒物誘発性1.4各種疾患に伴う 1.4.1結合組織病 1.4.2エイズウイルス感染症 1.4.3門脈性 1.4.4先天性心疾患(CHD) 1.4.5住血吸虫症1.5 肺静脈閉塞性疾患および/または肺毛細血管腫症(PVOD/PCH)1.6新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)第2群 左心性心疾患に伴う肺高血圧症2.1心不全 2.1.1拡張不全 2.1.2収縮不全2.2弁膜疾患2.3先天性/後天性後毛細血管疾患一酸化窒素伝達経路thrombinbradykinin内皮細胞平滑筋細胞血管拡張細胞増殖抑制arginineeNOSNOcitrulinPDE5阻害薬GTPGCPDF5cGMP5’GMPエンドセリン伝達経路非選択的エンドセリン受容体拮抗薬(ERA)選択的ERA血管収縮細胞増殖抑制bigET-1RecECEET-1ETBETARecAAPSPGI2ETBPGI2誘導体ACATPcAMP第3群 肺疾患および/または低酸素血症に伴う肺高血圧症3.1慢性閉塞性肺疾患または肺気腫3.2拘束性肺疾患3.3拘束性/閉塞性混合障害の肺疾患3.4肺胞低換気症候群3.5肺疾患のない低酸素血症3.6肺発育障害第4群 肺動脈閉塞性疾患に伴う肺高血圧症4.1慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)4.2そのほかの肺動脈閉塞性疾患第5群5.1血液疾患5.2全身性疾患5.3代謝性疾患5.4慢性腎不全5.5肺腫瘍塞栓による微小血管障害5.6線維性縦隔炎5.7複雑先天性心疾患(区域性,単心室)プロスタサイクリン伝達経路thrombinAVPshearstressAngⅡcytokinesRos血管拡張細胞増殖抑制64❺小児での特徴 2018年のニース会議でも,小児PHは1つの独立したタスクフォースとして検証された.小児PHはすべての年齢に分布し,頻度的にPAHが大部分を占めると考えられていたが,実際にはPAHとほぼ同頻度で第3群の肺疾患に伴うPHが多いことが判明した11~14).代表的疾患としては,肺の成熟段階での異常を呈するような気管支肺異形成(BPD),横隔膜ヘルニアやダウン症候群などが相当する.ダウン症候群に関しては,CHDに伴うPAHPAHに特徴的な新生内膜が内皮と内弾性板の間に介在し,血管内腔はさらに狭小化する.血管リモデリングの評価としてはHeath‒Edwards(H‒E)分類を用いることが多く,H‒E分類1~3は収縮病変で可逆性変化,H‒E分類4~6は複合病変で非可逆性変化である.孤立性中膜病変から,細胞性そして線維性内膜肥厚へと進展し,その後葱状病変,拡張性病変やフィブリノイド壊死を伴う血管炎の病理像に変化する(図2)10).図1 病態生理3系統の伝達経路異常による病態生理.(McLaughlin VV, et al.:Circulation 2006;145:1417—1431)
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