2632小児・成育循環器学 改訂第2版
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2024年6月「小児・成育循環器学 第2版」編集委員長日本小児循環器学会理事長 山岸 敬幸ii 世間では10年ひと昔といいますが,医学は日進月歩で急速に進化しており,教科書やガイドラインの改訂は5年程度がスタンダードとされるようになりました.2018 年に出版された「小児・成育循環器学」も好評のなか昨年で5年を迎え,このたび改訂となりました. 本書は初版の序文に述べられました通り,日本小児循環器学会主導の教科書として発刊されました.2021年,私は理事長として学会のテーマを「Academic & Social」,2023年には「Academic for Social」と定め,学会が果たすべき社会貢献を意識してきました.学会の大きな役割の一つとして,学術的かつ社会的に質の高い教育による次世代の育成があげられます.そして具体的な形として,若手医師に向けた小児・成育循環器学の基礎教育,小児循環器専門医の育成,専門医の生涯教育,関連する多領域専門職の教育が必要です.質の高い教育を受けた医療従事者が,生涯的に社会に貢献できることが学会の目標の一つであると考えています. 改訂第2版となる本書も,前述の理念のもと,初版の構成と同様に「小児循環器専門医」のカリキュラムに基づいた構成で,各章・各項の内容を学会の総力を上げてアップデートいたしました.まず前半の多くのページで,解剖学,生化学,生理学,薬理学,病理学に基づいた小児・成育循環器学に不可欠な基礎知識を幅広く理論的に学習できるように網羅しています.そして,胎児・小児から成人までのシームレスな病態把握ができるように,重要な各疾患の成因,病態,診断,治療を専門家が実際に経験した症例の呈示を交えて詳細に解説しています.特に先天性心疾患の複雑な心内構造や血行動態をできるだけわかりやすくするため,全ページフルカラーで可能な限り模式図を多く掲載しているのは初版通りです.改訂第2版の新たな試みとして,症例呈示を中心に動画を含む画像を効果的に使用したプレゼンテーションを,最近の技術の進歩を生かしてオンラインコンテンツとして数多く収載しました.教科書誌面だけではない,より精細な画像や動画を用いた“目で見て経験する生きた学習”を感じていただけることと思います. 本書「小児・成育循環器学 改訂第2版」は,以上の特徴により,本領域の今,そして次世代のための体系的な教科書としての地位を確立しました.これから小児・成育循環器診療に携わろうと考えている研修医や医学生から,専門医を目指す小児循環器科医,現在診療を担っている小児循環器専門医,心臓外科医,産婦人科医,内科医,麻酔科医,そして看護師や技師,薬剤師の方々まで,幅広い医療従事者の診療と勉学の手助けになることと思います. 最後に,今回の改訂作業を無償で快く引き受けてくださった日本小児循環器学会評議員を中心とする執筆者の皆様,立案から校正と調整作業までを担当してくださった編集委員の先生方,そして編集・出版に多大なご尽力をいただきました「診断と治療社」のご担当の皆様に,心より感謝申し上げます.改訂第2版の序文

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