2632小児・成育循環器学 改訂第2版
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abIVSIVSRVRVRARAIASIASLVLVLALARVRVRARALALA ●主な治療・予後 三尖弁閉鎖はすべての病型が手術適応であり,Fontan手術を最終目標とする.歴史的にはGlenn手術3),Fontan手術4)いずれもが当初三尖弁閉鎖に対して行われたものである.Fontan手術の成績が向上し,重症の単心室に適応が拡大されている現在,本症は「よりよいFontan循環を目指して」計画的段階的な治療戦略を立てていかねばならない疾患である.Glenn手術,Fontan手術,Fontan循環の詳細については「Ⅲ‒C‒29:単心室(外科)」(p.505),「Ⅲ‒C‒38:Fontan循環」(p.542)を参照されたい.本項では三尖弁閉鎖に特化した治療戦略と治療成績,長期予後について述べることにする. 初回姑息手術として肺動脈閉鎖例や高度肺動脈狭窄例には体肺動脈短絡手術,肺血流増多例には肺動脈絞扼術が行われる.心房間交通が狭小である場合LVLVBTBT460な症例では頸静脈怒張や肝腫大を呈する.聴診所見では肺血流減少型の症例で胸骨左縁第二肋間に収縮期駆出性雑音,肺血流増多型の症例で胸骨左縁第三~四肋間に汎収縮期雑音が聴取されることが多い. ●主な検査❶胸部X線 現在では病名診断に胸部X線が用いられることはなく,病態把握や治療効果のモニターとして用いられる.肺血流量の推定,心拡大や肺うっ血の評価を行う.❷心エコー 通常,診断は心エコーを用いて行う.右房と右室が厚い筋性組織で隔てられている.右室は低形成で左室は大きい.通常,心房中隔と心室中隔は整列しない.病型診断も心エコーで行う.大血管が正常位置関係にある症例においては肺動脈狭窄の有無とその程度,TGA型の症例においては肺動脈狭窄以外にVSDや右室の大きさを評価する必要がある.すべての病型において,心房間交通の大きさを評価し,狭小化の有無を確認する(図2).❸CT 初回姑息手術として体肺動脈短絡手術(図3)を施行する場合,大動脈弓や肺動脈の形態,大血管の位置関係などを把握して,適切な短絡のデザインとアプローチを計画するために3D‒CTは非常に有用である.❹心臓カテーテル 病名診断および初回姑息手術に際して,基本的に心臓カテーテルは不要である.本症はFontan手術の対象疾患であり,両方向性Glenn手術,Fontan手術を施行する際には心臓カテーテルを行う.肺血管抵抗,肺動脈圧,肺動脈形態とサイズ,心機能,弁逆流,大血管の形態と位置関係,TGA型の場合には大動脈弁下狭窄の有無などの情報を総合的に評価して,両方向性Glenn手術,Fon-tan手術の適応を決定する.図3 3D�CT画像BT:Blalock—Taussig短絡術.図2 心エコーa:四腔断面像.右房と右室が厚い筋性組織で隔てられており,心房中隔と心室中隔は整列していない.b:カラードプラ断層像.右房に還流してきた体静脈血はすべて心房間交通を介して左房に流入し,僧帽弁を介して左室に流入する.心房間交通に乱流は生じていない.LA:左房,LV:左室,RA:右房,RV:右室,IVS:心室中隔,IAS:心房中隔.

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