災害時の医療スタッフの動きの実際整の判断は,「防ぎ得た死」に直結することを常に意識する必要があります.インターネット上で医療機関の被災状況やキャパシティを共有するシステムであるEMIS(Emergency Medical Information System:広域災害救急医療情報システム)やPEACE(Perinatal Early Assessment and Communication system for Emergencies:大規模災害対策情報システム)を用いて,受け入れ可能医療機関を自ら探すということもできます.具体的にどのような搬送手段があるのか,1つずつご紹介します(図2).5 医療搬送図1 遠方すぎると搬送のリスクもある!67「どこに」小児・周産期分野では,平時では独自のネットワークを構築し,搬送調整を行っていることが多いかと思います.災害時においても,そのネットワークを活用することが可能であれば,とても効率よく搬送調整できるでしょう.また,災害時には,都道府県庁や保健所等には災害時小児周産期リエゾンが配置されるため,災害時小児周産期リエゾンに搬送調整を依頼するという手段があるということをぜひ覚えておきましょう. 「どうやって」医療搬送は,「広域医療搬送」と「地域医療搬送」の2つの枠組みがあります.この2つの違いは距離ではなく,実施主体です.広域医療搬送は,国が自衛隊機等を用いて,被災地外まで航空搬送する医療搬送のことです.地域医療搬送は,自治体や医療機関が関係機関の協力を得て,ヘリコプターや救急車等により搬送することをいいます.2
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