医療的ケア児とは医療的ケア児はどのくらいいるの?Chapter1 03医療的ケア児は,図2のように増加の一途をたどっており,この15年で倍増しています.その理由としては,医療の進歩によって合併症をもっている新生児,特に超低出生体重児(出生体重1,000g未満児)の救命率が上昇したものの,医療的ケアが必要なまま退院して在宅生活している子どもが増加したことが原因として考えられています.さらに,知的障がいや身体障がいを合併しない「動く医療的ケア児」の存在は福祉の制度の枠組みから外れているため,福祉のサポートも通常の集団生活もできていない子どもたちが数多くいることが問題となっています(表1).その後,世田谷区が2015年に行った医療的ケア児者に対する実態調査では,医療的ケアの概要が示されました1).この実態調査では,医療的ケアを担っている家族が休まる時間が少なく,利用できるサービスの不十分さも明らかになっています.〔第4回報酬改定検討チーム:全国医療的ケア児者支援協議会提出資料(抜粋)一部改訂〕2014図2 在宅の医療的ケア児の推計値(0~19歳)〔厚生労働省:医療的ケア児について〕2013201520162017(人)25,00020,00015,00010,0009,967 9,987 5,000表1 医療的ケア児と重症心身障がい児の違い重症心身障がい児医療的ケア児2005200620082007200920102011201214,886 13,968 10,413 13,585 10,702 8,438 医療依存度医療依存度が高い者と低い者が混在(医療依存度は条件ではない)例外なく医療依存度が高い.ただし,医療的ケア内容には,呼吸器など高度なものも含めさまざま18,951 17,209 19,712 15,892 18,272 16,575 肢体不自由重度の肢体不自由であることが条件重度の知的障がいであることが条件肢体不自由であるとは限らない(内部機能障がいなどの者も)重度の知的障がいであるとは限らない(知的障がいは軽度またはない者も)「動く医療的ケア児」2018201920202021(年)20,155 20,18019,238 知的障がい
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