2640医療的ケア児保育・教育ハンドブック
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環境を整備しよう受け入れ準備Chapter2 その他の関係機関との連携も,あわせて進めていくことも必要です.安心安全な保育を基本に,子どもの主治医の先生に保育活動を理解していただき,施設での生活や遊びに関しても,こまやかに指示書を作成してもらうことが大切です.緊急時に想定される状況について看護師がアセスメントを行い,対応することも必要になります.そのほか,当園では災害時や新型コロナウイルス感染症の流行のなかでの保育にあたり,特に新しい生活習慣に伴って個別にマニュアルを作成しました.また,主治医のほかに,訪問看護ステーションを利用されている方もいましたので,医療的ケア方法や管理について,訪問看護がある日にその子の自宅に伺い,カニューレ交換を実施する際に見学に行かせてもらったり,保護者の許可をいただきお手伝いもさせてもらうことで,保育園でカニューレが取れてしまったときに再挿入ができるようになるなど,技術面においても連携は大切です.さらには,保育施設内においても,運営開始前に保育士,栄養士などへの説明も欠かせません.当園では,実際に保護者から破棄する痰吸引のカニューレの器具をいただいて,触ってもらったり,使用方法など資料提供をしながら説明をしました.酸素ボンベの取り扱いや対応方法も実際に業者の方に来園してもらい,酸素の出し方や閉め方,注意点なども教えてもらいました.このような取り組みを行うことで,「医療的ケア児には,このようにケアと管理を看護師が行うのですよ」と対応方法を知っておくことが大切です.「保育士は保育を行うこと.看護師が医療的ケア児のケアと管理を行うこと」と役割分担をし,それぞれのプロがお子さんをみるのですよ,ということを理解してもらうとよいでしょう.このように,医療的ケア児のお子さんは看護師がケアと管理をすることを理解してもらい,保育士には安心して保育に専念してもらいたいと考えます.医療的ケア児の受け入れに伴い,いちご南保育園において準備,対応してきた内容は下記の通りです.①玄関での受け入れ対応場所②衛生用品棚の設置③倉庫(バウンサー,テーブル付き補助いす,いす,子ども机,予備酸素用収納棚〈鍵付〉)④台所(胃ろうや経管栄養のための器具準備,器具の洗浄用)図1 さいたま市保育所等における医療的ケア児の受け入れ等に関するガイドライン39建物の整備

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