2647アレルギー診療必携ガイド
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97・蕁麻疹にはⅠ型アレルギー以外に機械的擦過をはじめとする種々の物理的刺激や薬剤,運動,体温上昇などが誘因になるもの,明らかな誘因がなく自発的に膨疹が出現するものなどがあり,症例によりこれらの機序のいずれか,または複数の因子が複合的に関与して病態を形成する.検査・診断・鑑別のポイント(図1)・蕁麻疹の特徴は個々の皮疹の一過性にあり,瘙痒を伴う紅斑が24時間以内に出没することが確認できればほぼ蕁麻疹と考えてよく,診断は比較的容易である.しかし,その対処のしかたは蕁麻疹の種類により大きく異なり,正しい病型診断が重要である.・病型分類は大まかに,自発的に膨疹が出現する特発性の蕁麻疹,特定の刺激で誘発される刺激誘発型の蕁麻疹,血管性浮腫に分けられる.・多くの場合,症状は皮膚に限局するが,腹痛,発熱,気分不良,気道閉塞感,嘔吐などの症状を伴うこともあり,これらの場合はアナフィラキシーやほかの全身性疾患の鑑別が必要である1).・蕁麻疹における検査の主たる目的は病型の確定と原因の探索である.・蕁麻疹では詳細に問診を行い,臨床的に病型を絞り込むことが大切であり,すべての症例に対して一律にⅠ型アレルギーや一般的生化学検査などを行明らかな外部誘因がない蕁麻疹刺激誘発性特定刺激ないし負荷により皮疹を誘発することができる蕁麻疹症状は毎日もしくはほぼ毎日出現し,6週間以上継続特発性症状は6週間以内機械性,寒冷,日光,温熱,圧,水,振動コリン性,接触性,アレルギー性,非アレルギー性,アスピリン,食物依存性運動誘発アナフィラキシー 10 蕁麻疹図1 蕁麻疹の主たる病型慢性急性物理的刺激その他

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