2647アレルギー診療必携ガイド
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111・薬剤が症状の原因である可能性を思いつくこと,詳細な問診が特に重要.・重症薬疹〔Stevens-Johnson症候群(Stevens-Johnson syndrome:SJS)や中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis:TEN),薬剤性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome:DIHS)など〕が疑われるなら,直ちに皮膚科の専門医にコンサルトする.・薬剤の使用期間,健康食品やサプリメントの摂取,過去の薬疹の既往,薬疹を生じやすい基礎疾患〔全身性エリテマトーデス,Sjögren症候群,後天性免疫不全症候群(acquired immunodefi ciency syndrome:AIDS)など〕や薬疹が重症化しやすい基礎疾患(肝腎機能障害,骨髄移植後など),感染症で生じうる中毒疹(溶血性連鎖球菌,単純ヘルペスなど)や発疹性ウイルス感染症(風疹,麻疹など)を念頭におきつつ鑑別する.・感作が新規に成立しアレルギー反応が生じるには,発症前に感作期間が必要である.投与直後に皮疹を発症した場合にはすでに感作が成立していたはずなので,過去の同系統薬の使用歴を調べる.原因薬の見逃しを防ぐには症状出現前2か月ほどの投薬歴を調べるのがよい.・副作用のうち最も多いのが皮膚症状であるが,臨床で■■■■■■■■検査を適用する場面はかなり少ない.薬剤リンパ球刺激試験(drug-lymphocyte stimulation test:DLST)はわが国では薬疹に対して保険適用される.結果はstimulation index(S.I.)値で表され,S.I.>1.8で陽性と判定される.Ⅳ型遅延型反応の薬疹の原因薬精査に有用である.薬剤性肺炎や薬剤性肝機能障害の原因薬検査にも用いられることがあるが,保険適用外である.DLST検査の限界として偽陽性や偽陰性が起こりやすいので,臨床経過と照合する必要がある.漢方薬やインターフェロン製剤などは非特異的に免疫細胞を活性化させるため偽陽性が生じやすい.・皮膚テストは患者の皮膚に生じる反応によって感作を証明する手法であり,即時型反応では皮膚プリックテストや皮内テスト,遅延型反応ではパッチテスト(図2)が有用である.重症薬疹では症状誘発の危険があるので禁忌である.適応のある患者に施行するとしても不用意に高濃度を用いるのは避けるべきである.・薬剤と症状との因果関係を証明するために最も信頼性が高い検査が負荷テストである.重症ではない皮疹や対処可能な全身症状(薬剤熱,重篤ではないアナフィラキシーなど),肺障害の一部(好酸球性肺炎)などに限られる.国 12 薬剤アレルギー検査・診断・鑑別のポイント

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