Part 1 アレルギー患者への対応112際的に標準化された試験法はない.あらかじめ患者にリスクを十分に説明し,同意を得る.リスクのある検査は入院が望ましい.臨床経過(即時型か,遅延型に近いか),被疑薬の数,投与経路により負荷テストの内容は変わるが,即時型アレルギーでは微量から投与を開始して10倍ごとに増量していき,各段階の間隔は30〜60分程度として半日あるいは1日で終了する.最終段階を終えて1〜2時間が経過しても症状が誘発されない場合は陰性と判定する.“マスト”の初期対応・薬剤アレルギーの症状が生じている場面では,原因薬剤を中止し症状改善のための治療が最優先である.アナフィラキシーではアドレナリン筋注が第一選択薬である.通常体格の成人なら0.3〜0.5 mg,小児なら0.01 mg/kgを筋注する(最大0.5 mg).・広汎な皮膚粘膜病変に加えて,発熱,倦怠感や消耗,重症感といった所見があれば,重症薬疹の疑いと考えて,被疑薬の問診,さらに皮膚科専門医へのコンサルトを行う.SJS,TEN,DIHSといった重症薬疹の徴候があれば,皮膚科専門医に検査治療を委ねるのがよい.SJS/TENについては,抗菌薬,抗てんかん薬,バルビツール酸系睡眠薬,アロプリノール,非ステロイド性抗炎症薬(nonsteroidal antiinfl ammatory drugs:NSAIDs)などがおもな原因となる.DIHSは,抗てんかん薬,アロプリノール,スルホンアミド系抗菌薬,ミノサイクリン,バンコマイシンなどの薬剤,ドライクリーニングや金属の洗浄剤テトラクロロエチレンが有名である.“ベスト”の管理・薬剤アレルギーの症状が軽快後は原因薬剤を特定し回避指導を行う.薬剤アレルギーの重症度,診断の確実性,代替薬などにより指導内容は異なる.基本的には,原因薬だけでなく分子構造が類似する同系統薬も避けるのが原則である.・代替薬がなくどうしても投与を必要とする場合は薬剤の脱感作を検討す図2 パッチテスト
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