193・ダニの量としては小麦粉1 gあたり1 mg以上のダニアレルゲンまたは500匹以上のダニの汚染があると発症リスクが高い.検査・診断・鑑別のポイント・OMAの特徴は表12)のとおりである.・発症は成人以降が多く(平均年齢41歳),これはダニの感作の年齢と関連すると考えられる.小児の報告もあり,わが国からも4歳の報告例がある.いずれの年齢でも発症する可能性がある.・以前食べられていた小麦を含む食品で即時型アレルギー症状が出たとき,また,同様の症状を同じものを摂取した複数人で認めたときに積極的に疑う.症状は食品摂取30分以内に生じることが多い.また,ダニのアレルゲン性は加熱によって低下しないため,自宅で調理したクッキーや天ぷらなど,高温で加熱した料理でも発症する可能性がある.・問診として,使われた小麦製品についての聴取が重要である.どのような製品で,開封されてどのぐらい経過したものだったのか,開封後はどこで保管されていたのか,といったことを詳細に聴取する.ダニは室温25〜28℃,相対湿度75%以上の環境下でよく増殖し,特に6週間以降で増殖するという報告がある.また,小麦粉そのものよりお好み焼きなどに使うミックス粉のほうが,ダニの餌となるアミノ酸などが含まれているため,ダニの増殖が多いと報告されている3).・通年性のアレルギー性鼻炎,結膜炎や気管支喘息の既往歴についても重要だが,既往歴がなくても否定はできない.実際,日本の36例の症例集積表1 経口ダニアナフィラキシーの特徴1. 粉を使用した食品を食べた後の症状出現.2. アレルギー性鼻炎,喘息,アトピー性皮膚炎,食物アレルギーの既往歴.3. ダニに対する感作(特異的IgEまたは皮膚プリックテスト陽性).4. 原因食品に使用された粉に対する皮膚プリックテスト陽性.5. 小麦プリック液,または,ダニ汚染のない粉に対する皮膚プリックテスト陰性.6. ダニ汚染のない粉でつくられた食品摂取で症状出現なし.7. 原因食品に使用された粉中のダニの同定.8. 原因食品に使用された粉中のイムノアッセイによるダニアレルゲンの確認.9. アスピリンやNSAIDs過敏症あり. 14 食物アレルギー⑩経口ダニアナフィラキシーNSAIDs:nonsteroidal antiinfl ammatory drugs.〔Sánchez-Borges M, et al.: Oral mite anaphylaxis: who, when, and how? Curr Opin Allergy Clin Immunol 2020; 20: 242-247より日本語訳〕
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