第3章 統計は武器だ,賢く使おう74先生,研究計画書を書いてみたので内容を確認してほしいです.どれどれ…….後ろ向き観察研究として実施する予定なのですね.でも,この対象集団であれば組み入れられる患者さんは多いように思います.登録期間がそれほど長くなければ,後ろ向きよりもバイアスが減らせる前向きの観察研究で実施したほうがいいかもしれません.バイアスってよく聞きますけど,よくわからないので詳しく教えてください.わかりました.それでは,バイアスとその対処法についてみていきましょう.誤差の分類とバイアス 臨床研究でデータを収集する時に様々な要因で誤差が生じます.誤差は誤った研究結果を導き出す原因になりますが,完全になくすことはできません. 誤差は,偶然誤差とバイアス(系統的誤差)の2つに大別することができます(図1).偶然誤差は,確率的に発生する誤差のことをいい,研究の対象全体からなる母集団から得られる真の値と推定値に偏った差は認められません.しかし,バイアスは真の値から偏ったずれがあり,真実と異なる結果や結論を導く可能性があります(図2).偶Cバイアスとその対処法
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