2651健康寿命を考えた日常頻用薬の選び方・使い方
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139㉛糖尿病:疾患概要と治療の基本方針内分泌代謝疾患 糖尿病糖尿病:疾患概要と治療の基本方針内分泌代謝疾患/糖尿病31・ 2型糖尿病の病態に合わせた血糖降下薬による治療が必要です.・ 腎・肝障害のある患者および高齢者は,遷延性低血糖をきたす危険性があるので注意を要します.・ 妊娠中または妊娠する可能性の高い場合および授乳中には経口薬を使用しません.2型糖尿病はその病態が不均一な疾患群であり,インスリン分泌不全とインスリン抵抗性のいずれが高血糖を引き起こしているかは,個々の患者で多様です.近年,糖質代謝の様々なステップに作用する血糖降下薬の出現により,ひとりひとりの糖尿病患者で破綻をきたしている糖代謝のステップを見極めて血糖コントロールの手段を選択することが可能になりつつあります.薬剤の機序により,インスリン分泌促進,抵抗性改善,糖吸収・排泄調節系に分けられます.肥満,インスリン分泌・感受性や心・腎・肝保護作用に応じて薬剤を選択します.① 食物の炭水化物は,胃で一旦ためられ,アミラーゼで分解されながら,ゆっくりと上部小腸に流れます.複合糖質は上部小腸表面に存在する2単糖分解酵素(α-グルコシダーゼ)の作用によりグルコースやフルクトースのような単糖まで分解されて初めて吸収されます.α-グルコシダーゼ阻害薬はこの過程を遷延させることにより食後高血糖を改善します.② 小腸から吸収された糖は門脈に注ぎ,肝臓に流入します.門脈血中のグル臨床薬理ポイント糖尿病の病態生理と診断

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