2651健康寿命を考えた日常頻用薬の選び方・使い方
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177㊴心・腎・肝保護を目指したSGLT2阻害薬の適切な使用方法は?内分泌代謝疾患 糖尿病  SGLT2阻害薬制),この結果を受け,2型糖尿病の有無にかかわらず心不全抑制効果があるかを検証するEMPEROR-Reduced,EMPEROR-Preserved,DAPA-HF,DELIVERという大規模臨床研究が実施されました.一貫して明らかになっていることは,SGLT2阻害薬は,2型糖尿病の有無にかかわらず,慢性心不全における心不全入院を抑制するということです.さらに,これまで有効性が明らかでなかった左室駆出率(EF)が保たれたHFpEF(heart failure with preserved ejection fraction;心機能が保たれている心不全)に対しても有効性が示されました2).腎保護効果については,メタアナリシスよりSGLT2 阻害薬は末期腎不全の発症リスクを38 %低下させました3).CKD(chronic kidney disease;慢性腎臓病)ステージが進行した対象集団(eGFR<30 mL/分/1.73 m2〈CKDステージ4〉)においても,CREDENCE試験よりSGLT2 阻害薬はeGFRの年間変化量を2.5/年改善させました4).eGFR 30 mL/分/1.73 m2以下,以上いずれの集団でも腎保護効果に差は認めず,腎機能低下例においてもSGLT2阻害薬が腎保護効果を有することが確立されつつあります.さらに,こうした腎保護効果は尿アルブミンの有無にかかわらず発揮されることもCANVAS試験やメタアナリシスより明らかになっています3)(図1).最近では,非糖尿病症例も含めた尿アルブミン陽性CKDに対しても,SGLT2阻害薬が腎複合エンドポイントを改善させることがDAPA-CKDで示されました.非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD)およびその重症型である非アルコール性脂肪性肝炎(non-alcoholic steatohepatitis:NASH)において,高血糖がNASHの最も重要な表現型である肝線維化を促進することが連続肝生検研究より明らかとなり5),NAFLD・NASHは糖尿病の合併症と言っても過言ではありません.一方,NAFLD・NASHに対し,確立された治療方法は現時点において存在しませんが,チアゾリジン誘導体であるピオグリタゾン,GLP-1受容体作動薬であるリラグルチドは,NAFLD・NASH

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