178内分泌代謝疾患/糖尿病 SGLT2阻害薬患者に対する組織学的改善を証明しました.近年SGLT2阻害薬についても,NAFLD・NASHの病理学的改善効果が証明されつつあります.NAFLD合併2型糖尿病患者に対して,SGLT2阻害薬(トホグリフロジン)あるいはSU薬を投薬し,12か月間の介入前後で肝生検による組織学的評価を行ったランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)6)において,SGLT2阻害薬は介入前後で脂肪化,肝細胞風船様変化,炎症,線維化とすべての肝病理スコアを有意に改善させました.同等に血糖が低下したSU薬群においては,肝細胞風船様変化のみの改善でした.また,SGLT2阻害薬群の線維化改善率は60%と高く,肝病理スコアの改善率を主要評価項目とした過去の研究と比較しても,SGLT2阻害薬群の線維化改善率の高さが顕著でした(表1).以上から,SGLT2阻害薬は単なる血糖低下作用を超えて心・腎・肝保護と多様な臓器保護効果を有することが明らかになりました.臓器保護の機序としては,ケトン体利用へのシフト,交感神経抑制,組織酸素供給量の改善,糸球体内圧低下,炎症・酸化ストレス改善など多くの機序が想定されています.−0.15 −4.77−1.76 顕性アルブミンUACR>300−0.470.59正常アルブミンUACR<30−1.14微量アルブミンUACR30〜300年次eGFR低下速度(mL/分/1.73m2)10−1−2−3−4−5−6カナグリフロジン(SGLT2阻害薬)プラセボ図1 腎症病期別のSGLT2阻害薬によるeGFR低下速度改善効果(CANVAS試験より)
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