2651健康寿命を考えた日常頻用薬の選び方・使い方
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180内分泌代謝疾患/糖尿病  SGLT2阻害薬トカムの発症リスクを有意に低下させました8).糖尿病合併CKD症例の場合には,アルブミン尿の有無にかかわらず,eGFR 20 mL/分/1.73 m2以上の場合,積極的に投与を検討すべきです.また,eGFR 15 mL/分/1.73 m2未満では,新規に投与開始すべきではないとされていますが,継続使用の場合には透析移行阻止のために継続するということが日本腎臓学会が公表した「CKD治療におけるSGLT2阻害薬の適正使用に関するrecommendation」に記載されています.2型糖尿病患者は心不全高リスク集団であるということに注意し,常に心不全合併を疑う必要があります.スクリーニング検査としてはBNP,NT-proBNP測定が簡便であり,BNP>100 pg/mL (NT-proBNP>400 mg/dL)であれば治療対象となる心不全の可能性が高く,循環器専門医にコンサルトすべきです.SGLT2阻害薬を開始すべき基準に関しては,「糖代謝異常者における循環器病の診断・予防・治療に関するコンセンサスステートメント2020」に根拠を求めると,BNP>100 pg/mL(NT-proBNP>400 mg/dL),心筋梗塞の既往,CKD合併例においてSGLT2阻害薬が推奨とされています.1)正常血糖ケトアシドーシスSGLT2阻害薬では,インスリンによらない血糖低下作用を有することから,血糖値が正常範囲であってもインスリン作用が低下する状態で脂肪酸酸化が亢進し,正常血糖ケトアシドーシスに至ることがあります.特にインスリン依存状態糖尿病患者においてインスリンの急速な減量や中止,過度な糖質制限を行った際,食事摂取不良・感染症などのシックデイ時においてケトアシドーシスのリスクが高まります.このようなシックデイ時にはSGLT2阻害薬の休薬,中止を行う必要があります.食事摂取ができない全身麻酔手術が予定されている際には,術前3日前からの休薬が必要である点は留意する必要がありSGLT2阻害薬における注意すべき有害反応pointpoint 33

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