181㊴心・腎・肝保護を目指したSGLT2阻害薬の適切な使用方法は?内分泌代謝疾患 糖尿病 SGLT2阻害薬ます.食事が十分摂取できるようになってから再開を行います.2)サルコペニア,フレイルリスクSGLT2 阻害薬投与中は異化亢進状態となることから脂肪量のみならず筋肉量も減少することが懸念されます.SGLT2阻害薬を用いた前向き介入研究において,集団としては骨格筋量,筋力が変化しないと報告されています9).ただ,個別症例に目を向けると,比較的短期間で体脂肪とともに骨格筋量が顕著に減少し,サルコペニアに至ったという症例も報告されています10).特に内因性インスリン分泌能が低下したやせ型高齢者への使用時には,十分な注意が必要です. SGLT2 阻害薬はその糸球体内圧低下作用から,投与後早期に“initial dip”と呼ばれるeGFR 低下を認めることがあるため,開始後早期(2週間~2か月程度)にeGFR を評価することが望ましいです.ちなみに,eGFRの initial dip自体は,のちの腎予後には影響を与えないと報告されており,initial dipがないからと言って腎保護が得られないわけではありません.予後予測の目 近年,腎臓領域の臨床研究評価項目としてeGFR低下速度が重要視されています.SGLT2阻害薬は,尿アルブミン量によらず,eGFR低下速度を改善させます.特に,正常アルブミン尿の症例でSGLT2阻害薬の臓器保護効果が見えにくい場合にも,SGLT2阻害薬投与前後でeGFR低下速度を評価することで,その臓器保護作用が可視化される可能性があります.治療目標を医師・患者間で共有しやすく,双方のモチベーション向上に繋がるのではないでしょうか.現在ではインターネット上で検索すると簡単に「eGFR年間低下速度計算ツール」を使用できます.患者さんのQOLと治療目標
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