2653糖尿病・内分泌疾患ベストプラクティス
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23や勘を磨いていきます.外来を担当することが決まった時,皆様は何を思うのでしょうか?医師として独り立ちすることへの喜び,もしくは重責を担うことへの不安でしょうか?いずれにせよ,今後,精進を重ねるなかで,大いに悩み,喜び,良医へと成長されることを切に願っています.以下,これから外来を始めようという若い先生に向けて,私なりにアドバイスをさせていただきます. 1 正常を知る疾患を知るには,正常な生理機能を知っておくことが必要です.これを知っておくことで,疾患のある状態とない状態の比較が可能となり,診療の厚みが増します.正常を知ることなく診療にあたると,病名と治療の紐付けにのみ終始することになります. 2 病態を知る疾患を知るには,その病態を知っておくことが必要です.これを知っておくことで論理的思考が可能となり,診療の精度が増します.病態を知ることなく診療にあたると,症状と治療の紐付けにのみ終始することになります. 3 患者を知る疾患を知るには,患者自身のことを知っておくことが必要です.これを知っておくことで,心理的・社会的・経済的背景に即した対応が可能となり,診療の信頼度が増します.患者を知ることなく診療にあたると,疾患と治療の紐付けにのみ終始することになります. 4 自身を知る疾患を知るには,自分自身のことを知っておくことが必要です.これを知っておくことで丁寧かつ安定した診療が可能となり,患者からの信頼が得られます.自身を知ることなく診療にあたると,自己満足に終始してしまう可能性があります.いろいろ述べましたが,私自身,まだそこまでの領域には達していません.自戒の念を込めて,まとめさせていただきました.本書を手に取り,このコラムにまで目を通す皆様は,今後,並々ならぬ努力を重ね,卓越した技術と豊富な知識を得るものと思われます.人間性にも磨きをかけつつ,さらなる高みを目指して頑張ってください.(髙橋 裕)(岩佐 武)外来のことはじめ―4つの“知る”を忘れずに

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