2667薬剤師に聞いてみよう!子どもの薬Q&A
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吸収が速い吸収が遅い130次の点眼次の点眼洗い流されてしまう5分程度の間隔で可水性点眼液懸濁性点眼液10分以上の間隔を設けないとすみ,なおかつ吸収の遅い「懸濁性点眼液」の効果を“洗い流し”の影響から守りやすいことになります.一方で,もし「懸濁性点眼液」を先に使ってしまったとしても,それだけで何か治療に大きな支障をきたすというわけではないため,次の点眼まで10分以上の間隔をしっかりとあけることを徹底すれば,特に問題はないと考えられます.・同じ「水性点眼液」同士の場合は?点眼薬の性質が同じもの同士の場合,基本的にはどちらを先に点眼してもよいですが,“先に点眼した薬液”は,“あとから点眼した薬液”によって少なからず洗い流されてしまいます.そのため,“重要な薬”をこの“洗い流し”の影響から守るためにあとで点眼する,というのが基本の考え方になります.薬の重要度の判断は個々の患者さんの状況にあわせて考える必要がありますが,本症例では,アレルギー治療の「アレジオン点眼液」よりも,抗菌薬の「タリビッド点眼液」のほうがより重要度が高いと判断し,その順序を提案しています.・「水性点眼液」のあとに設ける間隔は,1~2分ではダメか?吸収の早い「水性点眼液」であっても,あまり立て続けに次の点眼を行うと,十分に吸収される前に洗い流されてしまうことになります.実際,ウサギを使った実験において,「水性点眼液」であっても間隔をおかずに点眼した場合は房水内薬物濃度の低下が確認されており,その影響は30秒間隔で75%低下,1分間隔では50%低下,2分間隔では40%低下と非常に大きく,5分の間隔をあけることでようやく洗い流しの影響は消失することが確認されています3).個々の点眼液に関しての詳細なデータがない現状,これを参考に「水性点眼液」であっても5分の間隔を設ける必要がある,と考えるのが最も妥当と考えられます.・「水性」か「懸濁性」かの見分け方「水性点眼液」か「懸濁性点眼液」かを見分けるには,薬の添付文書を確認するのが最も簡単です.「3.2 製剤の性状」の項目で,「水性点眼」とだけ書かれているものは「水性」,「水性懸濁点眼」のように“懸濁”の文字が入っているものは「懸濁性点眼液」と判断することができます(図2).なお,現在用いられている点眼薬のほとんどは「水性点眼液」のため,数が少ない「懸濁性点製 剤図1 水性点眼液と懸濁性点眼液の特徴

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