保湿剤皮膚手のひら2枚分の面積(240〜280cm2)保湿剤皮膚足りない炎症が起きたことでザラザラしている部分薄く延ばした場合1FTU保湿剤(約0.5g)74たっぷりと塗布した場合理想的な塗布量1.7〜2.1mg/cm21.1〜1.7mg/cm2多くの人が感じる“適量”用 量図2 保湿剤の理想的な塗布量と,多くの人が感じる“適量”たことが起こるため,十分な量をしっかりと塗布する必要があります.この“十分な量”のめやすを伝える際に便利なのが「FTU」という単位です.「FTU」はfinger-tip unitのことで,「チューブから人差し指の第一関節の長さに薬を出した量=約0.5 g」を「1 FTU」とし,これを「大人の手のひら2枚分の面積=240~280 cm2」に塗布する3),という考え方です.「1 FTU」を目安に保湿剤を塗布した場合,その塗布量はおよそ「1.7~2.1 mg/cm2」くらいになりますが,多くの人は「1.1~1.7 mg/cm2」くらいの量を塗布したときに“適量”だと感じる4)とされており,その認識にはかなりのずれがあります(図2).つまり,保湿剤を感覚だけで使っていると,基本的に必要量には足りない量で使うことになってしまうことがほとんどだ,ということです.実際,保湿剤の塗布量が1.0 mg/cm2程度にまで少なくなくなってくると,その保湿効果は明らかに減弱することもわかっています4,5)ので,保湿剤の効果を十分に引き出すためには,どのくらい塗布すればよいのかという“塗布量の具体的なめやす”も伝えることが不可欠です.「1 FTU」の量の保湿剤を手のひら2枚分の面積に塗布していく際,体の各部位に対してどのくらいの保湿剤が必要になるかは子どもの体の大きさによって変わりますが,平均的な1~2歳の子どもの場合,顔と首で1.5 FTU,体部(前面)で2 FTU,体部(背面)で3 FTU,片腕で1.5 FTU,片脚で2 FTU,つまり全身では13.5 FTUがめやすになります6).これは,1回の塗布に保湿剤が6.75 g必要だという計算になります(表1).これを1日2回で塗布する場合,2週間で必要となる薬の量は1回6.75 g×1日2回×14日で合計189 gとなるため,これより少し多めの200 gという今回の処方は非常に妥当な量だと考えられます.なお,この「1 FTU」の「人差し指の第一関節の長さ」や「手のひら2枚分の面積」という図1 保湿剤を薄く延ばして塗布した場合のイメージ
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