製 剤『タリビッド点眼液』は水性点眼液,『フルメトロン点眼液』は懸濁性点眼液のため,基本的には水性点眼液である『タリビッド点眼液』を先に使うのが推奨されます.複数の点眼薬を使う場合,“先に使った薬液”が十分に吸収される前に,“あとで使った薬液”で洗い流されてしまうことが一番の問題になるため,吸収の速い水性点眼液を先に用いるのが基本になるからです.なお,続けて点眼を行う際には,先の点眼から一定の時間間隔を設ける必要があります.このとき必要になる時間間隔は,吸収の速い水性点眼液であれば5分程度,吸収の遅い懸濁性点眼液では10分以上とされています.そのため水性点眼液を先に使ったほうが時間もかからないですが,もし間違って先に懸濁性点眼液を使ってしまっても,次の点眼までしっかりと10分以上の間隔をあけることができれば,治療には大きな支障を生じないと考えられます.ところでこの患者さんは,他院でアレルギー治療を目的に抗ヒスタミン薬の点眼薬『アレジオン点眼液』を処方されています.この薬も『タリビッド点眼液』と同じ水性点眼液ですが,同じ性質同士の点眼液の場合は,重要度の高い薬をあとで使うのが一般的です.これも,重要な薬を“洗い流し”の影響から守ることが目的です.これらを踏まえると,この患者さんの場合は『アレジオン点眼液(水性)』―(5分間隔)→『タリビッド点眼液(水性)』―(5分間隔)→『フルメトロン点眼液(懸濁性)』の順がよいと考えられます.点眼薬は大きく分けて「水性」と「懸濁性」の二つに分類することができます.有効成分が水に溶けやすいものである「水性点眼液」は,点眼した際にも比較的すぐに吸収される傾向にあります.そのため,「水性点眼液」の次に点眼を行う際は5分程度の間隔で問題ない1)とされています.一方,有効成分が水に溶けにくい「懸濁性点眼液」は吸収にもやや時間がかかるため,次の点眼を行う前に10分以上の間隔が必要2)とされています(図1).そのため,「水性点眼液」→「懸濁性点眼液」の順に用いたほうが,必要な時間間隔が短くて12922点眼薬の処方が複数ある場合,どういう順序で使うように指示すればよい?薬剤師としての回答回答の根拠「水性点眼液」と「懸濁性点眼液」の順序複数の点眼薬を使う場合に注意しなければならないのは,“先に点眼した薬液”が“あとで点眼した薬液”で洗い流されてしまい,効果を得られなくなってしまうことです.そのため,続けて点眼する際には,“先に点眼した薬液”が十分に吸収されるのを待つ必要がありますが,この吸収にかかる時間は点眼液の性質によって異なります.
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