2679悩める痛みのケーススタディ
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各論 見方を変えたら診断できた!志水① 背部の焼けるような痛み和足37特定されていない悩める患者にスムーズに対応できるようになった.最後に,忙しい外来のなかで,このようないろいろな専門科や病院を受診されてきた患者に興味をもつことができるかどうかがある(Curiosity).一人として同じ患者は存在せず,その一人ひとりに異なるストーリーが存在している.なぜ,そのような症状が出るか,病態が考えられるか? 原因がわからないと受診されたときにこそ,この臨床的知的好奇心が実は患者の期待に応えるヒントとなることが多いと感じている.原因未特定の痛みの患者が未特定のまま,そのdiagnostic journeyを終えるときはどのような状況が多いですか?クリニカルセッティングによるとは思いますが,筆者はすべての検査・すべての診療科にアクセス可能な三次医療機関に属しているためか.それ以上打つ手がないというまでの痛みの頻度は多くありません.器質的な痛みの原因がはっきりとせずとも,心因性疼痛や神経障害性疼痛などの鑑別が残ることが多い印象です.その場合は現段階では明確な異常所見を認められないために,①安心できる病態であること,また,②他に考えられる鑑別診断をある程度の事前確率などを添えてメモに書いてお渡ししています.最終的には継続的にフォローすることが多いです.(和足孝之)文 献 1) Stenager E, et al.:Suicide attempts in chronic pain patients. A register-based study. Scand J Pain 5:4-7, 2014 2) 志水太郎:診断戦略 診断力向上のためのアートとサイエンス.医学書院,4,2014 3) Tokuda Y, et al.:Caught in the web:e-Diagnosis. J Hosp Med 4:262-266, 2009 4) 横内義憲,他:吸湿発熱素材着用時におけるMRI撮像についての基礎的検討.日本診療放射線技師会誌62:1216,2015 5) 小川宗久,他:MRI撮影における機能性肌着の成分と発熱の関係.医療の質・安全学会誌10(Suppl):204,2015 6) 加々美 智,他:1.5TMRI装置における衣服が画像に及ぼす影響の基礎検討.第42回日本磁共鳴医学会大会会議録.2014 7) 廣瀬正典,他:MRIのリスクマネジメント.臨床画像34(増):30-33,2018 8) Watari T, et al.:MRI thermal burn injury:an unrecognised consequence of wearing novel, high-tech undergarments. QJM 111:495-496, 2018Ⅱ表4 筆者が原因不明の痛みの患者を紹介されたときに気をつけている4CControl:場の支配Clear mind:心が澄みきっていることCompassion:思いやりCuriosity:患者に対する興味(志水太郎:診断戦略 診断力向上のためのアートとサイエンス.医学書院,4,2014より)質疑応答

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