明されています. ドーパミン神経系機能の過剰反応は,統合失調症のように絶えず生じている疾患と,ストレスによってドーパミン神経系機能亢進が引き起こされる疾患の2つがあります.前者はどのような治療が施されたとしても,根本的には改善しないため,症状を抑えるにはドーパミン受容体の遮断や部分遮断の作用をもつ薬剤,つまり抗精神病薬の服用継続が必要です.後者は症状が生じた際に薬物療法は必要ですが継続した服薬は必要でないケースがほとんどであるという治療面で大きな違いがあります.(2)脳器質の変化で生じる幻覚・妄想 脳器質の変化とは,脳の実質,特に大脳皮質の欠損,萎縮による変性や圧迫による変形によって引き起こされる変化です.神経細胞自体が変化しているのですから当然ながら機能異常が生じています.ただ,前項(p.47)の機能性のトラブルとの違いは,変性が生じて機能しなくなった部分を補完するために,残された器質的に正常な部分の脳神経系が機能亢進することに端を発することで生じる機能異常であるこということです. 器質変化していても,その変化部位に限局する機能異常もあれば,脳全体48第2章 代表的なメンタル障害
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