2699働く人のメンタル不調サポートブック
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第3章代表的なメンタル障害の実例とその対応痢・便秘の症状が繰り返し生じ,次いで,全身倦怠感,食欲不振など様々な体調不良が出現したが,仕事に穴をあけるわけにはいかないと,休むことなく出社した.さらに業務の進捗をスケジュールに合わせるために,部下のマネジメントを行う必要のない時間帯に仕事をするようになり,残業や土日に作業をするようになった. 先ほどの職場放棄した社員がメンタル障害であるため療養が必要という内容の診断書を提出したことで人員減となり,その代わりの仕事もせねばならず,深夜まで残業せざるを得なくなった.その4週間後の日曜日に社内で作業中に倒れているところを,休日出勤してきた社員に偶然発見され救急搬送される事態となった.救急外来での検査から,身体疾患は認められず,脱水と過労と診断されたが,近々の生活や働き方を聴取され,救急外来の医師に,高ストレス状態であるため精神科を受診するよう勧められた. しかしながら,精神科を受診することなく,翌日から出社して働いている報告を受けた上司が心配し,産業医面談を受けるよう指示した.産業医は看過できる状態ではないため即精神科専門医を受診するよう指示を出したが,「大丈夫」であると頑なに受診を拒否したため,上司が付き添って強制的に精神科受診となった.931.うつ病とうつ状態,双極症(双極性障害)

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