2699働く人のメンタル不調サポートブック
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・『復職に関する担当医師の意見書』 長期に療養してきた休職者の健康状態は,「復職可能」の一語だけの診断書では把握できません.職場が知りたい情報が得られないことから,職場復帰後に双方がこんなはずではなかったということにならないためにも,職場が確認したい内容を盛り込んだ意見書の作成を依頼します.これまでの経験から,作成に難色を示した医師はいましたが拒否して作成してもらえなかったケースはありません(※たった1例ですが,意見書作成に法外な費用を要求してきた医師がいたため,その費用は診断書発行費用との差額を職場が負担したという事例があります). 図2が書面の例示です. メンタル障害での長期休職者の健康状態確認に必須な項目を例示していますが,各職場で確認が必要な内容は千差万別ですから,この例示内容にさらに確認項目を追加したものを定型の書式とするとよいでしょう.ポイントとしては,担当医師は復職可能と意見している実態と詳細に齟齬がないかをみることです.復職の条件として,チェック項目はすべて『□ はい』がチェックされていなければ,復職自体が困難という判定になります. 復職に関しての配慮を行うことは,職場・復職者ともに負担が生じますから,何度も復職のトライアルをするべきではありません.この書面による担当医師が医学的に就労可能な健康状態であるという証明と,さらに職場は段階的な負荷漸増による復職支援を行うという二重の安全配慮を設定することで,円滑な職場復帰が可能になります.を意識しても不調が再燃することがないか否の連絡を取る.4)復職準備期 「療養状況報告書」の“復職時期の見通し”の項目から復職時期が近づいていると判断される場合には,「復職に関する療養担当医師の意見書」の作成を担当医師に依頼するよう連絡する.229円滑な職場復帰のヒント復職時の留意点

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