難治性血管炎に関する調査研究班による成人のAPS,EGPA,PAN,RVの治療の手引き.診療にかかわるすべての医師にとって日本における標準的治療の理解の一助となる1冊です.巻頭には「クイックリファレンス」を掲載.患者さんの治療の理解に役立ちます.クリニカルクエスチョンと推奨だけでなく,治療レジメンの選択アルゴリズムを収載しました.
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目次
【治療の手引きのクイックリファレンス】
1.治療の手引き作成の背景と目的
2.治療の手引きの使い方
3.クリニカルクエスチョンと推奨
4.推奨と解説の読み方
5.CQと推奨一覧
<抗リン脂質抗体症候群(APS)>
CQ1 血栓症既往のない抗リン脂質抗体陽性者へ血栓予防治療を行うべきか?
CQ2 静脈血栓症で発症した抗リン脂質抗体症候群において,どのような血栓予防治療を行うか?
CQ3 動脈血栓症で発症した抗リン脂質抗体症候群において,どのような血栓予防治療を行うか?
CQ4 劇症型抗リン脂質抗体症候群に対してどのような治療を行うか?
抗リン脂質抗体症候群の治療レジメンの選択
<好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)>
CQ1 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の寛解導入治療では,どのようなレジメンが有用か?
CQ2 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の寛解維持治療では,どのようなレジメンが有用か?
CQ3 末梢神経障害の残存する好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の治療では,免疫グロブリン大量静注療法の併
用は有用か?
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の治療レジメンの選択
<結節性多発動脈炎(PAN)>
CQ1 結節性多発動脈炎に対して有用な治療はあるか?
CQ2 皮膚動脈炎(皮膚型結節性多発動脈炎)に対して有用な治療法はあるか?
結節性多発動脈炎の治療レジメンの選択
<リウマトイド血管炎(RV)>
CQ1 リウマトイド血管炎に対してグルココルチコイドと免疫抑制薬の併用は有用か?
CQ2 リウマトイド血管炎に生物学的抗リウマチ薬は有用か?
リウマトイド血管炎の治療レジメンの選択
序
目次
執筆者一覧
略語一覧
Ⅰ.背景・目的と使用上の注意
1.背景
2.目的
3.本治療の手引きの対象疾患
4.本治療の手引きの利用者
5.使用上の注意
Ⅱ.治療の手引き作成組織
1.ワーキンググループ
2.作成資金
3.利益相反
Ⅲ.システマティックレビュー,エビデンスの確実性の評価と推奨の作成
1.システマティックレビューでの論文採用基準
2.エビデンスの確実性の評価
3.推奨の作成
Ⅳ.各疾患の治療推奨
<抗リン脂質抗体症候群(APS)>
1.重要臨床課題・アウトカムとクリニカルクエスチョン
2.CQ1の推奨のまとめ
CQ1 血栓症既往のない抗リン脂質抗体陽性者へ血栓予防治療を行うべきか?
3.CQ1の推奨と解説
CQ1-1 血栓症既往のない高リスクの抗リン脂質抗体陽性者への血栓予防治療として,低用量アスピリンは
有用か?
CQ1-2 血栓症既往のない抗リン脂質抗体陽性者への血栓予防治療として,ワルファリンのアスピリンへの
追加はアスピリン単独に比べ有用か?
CQ1-3 基礎疾患に全身性エリテマトーデスを有する抗リン脂質抗体陽性者への血栓予防治療として,ヒド
ロキシクロロキンは有用か?
4.CQ2の推奨のまとめ
CQ2 静脈血栓症で発症した抗リン脂質抗体症候群において,どのような血栓予防治療を行うか?
5.CQ2の推奨と解説
CQ2-1 静脈血栓症で発症した抗リン脂質抗体症候群の血栓予防治療において,グルココルチコイドや免疫
抑制薬と,ワルファリンのどちらが有用か?
CQ2-2 静脈血栓症で発症した抗リン脂質抗体症候群の血栓予防治療において,ワルファリンは高強度と通常
強度のどちらが有用か?
CQ2-3 静脈血栓症で発症した抗リン脂質抗体症候群の血栓予防治療において,直接経口抗凝固薬とワルファ
リンのどちらが有用か?
6.CQ3の推奨のまとめ
CQ3 動脈血栓症で発症した抗リン脂質抗体症候群において,どのような血栓予防治療を行うか?
7.CQ3の推奨と解説
CQ3-1 動脈血栓症で発症した抗リン脂質抗体症候群の血栓予防治療において,ワルファリン単独と抗血小板
薬または抗血小板薬とワルファリンの併用ではどちらが有用か?
CQ3-2 動脈血栓症で発症した抗リン脂質抗体症候群の血栓予防治療において,アスピリン単独とアスピリン
とワルファリンの併用ではどちらが有用か?
CQ3-3 動脈血栓症で発症した抗リン脂質抗体三種陽性の抗リン脂質抗体症候群の血栓予防治療において,
リバーロキサバンとワルファリンのどちらが有用か?
8.CQ4の推奨と解説
CQ4 劇症型抗リン脂質抗体症候群に対してどのような治療を行うか?
9.医療消費者へのインタビュー結果
<好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)>
1.重要臨床課題・アウトカムとクリニカルクエスチョン
2.CQ1の推奨のまとめ
CQ1 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の寛解導入治療では,どのようなレジメンが有用か?
3.CQ1の推奨と解説
CQ1-1 重症でない好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の寛解導入治療では,グルココルチコイド単独と,グルコ
コルチコイドとアザチオプリンの併用のどちらが有用か?
CQ1-2 グルココルチコイドに抵抗性の好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の寛解導入治療では,グルココルチコ
イドとアザチオプリンの併用と,グルココルチコイドと静注シクロホスファミドパルスの併用は,どちらが
有用か?
CQ1-3 既存治療に抵抗性の好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の寛解導入治療では,メポリズマブの追加併用
は有用か?
4.CQ2の推奨と解説
CQ2 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の寛解維持治療では,どのようなレジメンが有用か?
5.CQ3の推奨と解説
CQ3 末梢神経障害の残存する好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の治療では,免疫グロブリン大量静注療法の
併用は有用か?
6.医療消費者へのインタビュー結果
<結節性多発動脈炎(PAN)>
1.重要臨床課題・アウトカムとクリニカルクエスチョン
2.CQ1の推奨のまとめ
CQ1 結節性多発動脈炎に対して有用な治療はあるか?
3.CQ1の推奨と解説
CQ1-1 重症の結節性多発動脈炎に対する寛解導入治療では,グルココルチコイド+シクロホスファミドの
併用はグルココルチコイド単独よりも有用か?
CQ1-2 重症でない結節性多発動脈炎の寛解導入治療では,免疫抑制薬の併用は必要か?
CQ1-3 重症でない結節性多発動脈炎に対してグルココルチコイドが奏効しない場合,どの免疫抑制薬の併用
が有用か?
4.CQ2の推奨と解説
CQ2 皮膚動脈炎(皮膚型結節性多発動脈炎)に対して有用な治療法はあるか?
5.医療消費者へのインタビュー結果
囲み記事:小児の結節性多発動脈炎(PAN)について
<リウマトイド血管炎(RV)>
1.重要臨床課題・アウトカムとクリニカルクエスチョン
2.CQ1の推奨のまとめ
CQ1 リウマトイド血管炎に対してグルココルチコイドと免疫抑制薬の併用は有用か?
3.CQ1の推奨と解説
CQ1-1 リウマトイド血管炎に対してグルココルチコイドと静注シクロホスファミドパルスの併用は有用か?
CQ1-2 リウマトイド血管炎に対してグルココルチコイドとアザチオプリンの併用は有用か?
4.CQ2の推奨と解説
CQ2 リウマトイド血管炎に生物学的抗リウマチ薬は有用か?
5.医療消費者へのインタビュー結果
Ⅴ.治療の評価・普及・改訂
1.治療の手引きの普及促進要因と阻害要因
2.外部評価と関連学会による承認
3.モニタリングと監査
4.治療の手引きの改訂
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序文
序
血管炎症候群は血管壁の炎症に基づく血管の構造的変化,損傷,血流障害をもたらす疾患であり,その多くは希少性,原因不明,治療法未確立,患者のQOLに多大な影響を及ぼす難病です.厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患政策研究事業)難治性血管炎に関する調査研究班は,2019年度現在,指定難病に含まれる9種類の血管炎および関連する疾患の調査研究を担当しています.難治性血管炎に関する調査研究班はこれまでに,「ANCA関連血管炎診療ガイドライン2017」,「血管炎症候群の診療ガイドライン(2017年改訂版)」を出版するとともに,血管炎に関する市民公開講座を全国各地で開催し,血管炎の啓発,診療水準の均てん化を目指して活動してまいりました.
難治性血管炎に関する調査研究班では,2017年度から2019年度にかけて,抗リン脂質抗体症候群,好酸球性多発血管炎性肉芽腫症,結節性多発動脈炎,リウマトイド血管炎に関する治療の手引きを作成しました.これらの疾患では,GRADE法による診療ガイドライン作成に耐えうるほどの十分なエビデンスを現時点では得られないため,タイトルを治療の手引きとして,GRADE法にできるだけ倣って作成することとしました.
多忙ななか,本治療の手引きの作成にご協力いただいた患者の皆様,関連学会の皆様,難治性血管炎に関する調査研究班の班員の先生方とその関係者の皆様に,心より御礼申し上げます.本治療の手引きが,難治性血管炎の治療に活用され,今後の新しい治療法の開発の出発点となることを願っております.
2020年12月
難治性血管炎に関する調査研究班 研究代表者
針谷正祥