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不安とうつの統一プロトコル 診断を越えた認知行動療法 ワークブック 診断と治療社 | 電子メディア | ダウンロードデータ付書籍 | ダウンロードデータ付書籍詳細:不安とうつの統一プロトコル 診断を越えた認知行動療法 ワークブック データダウンロード

国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター 研修指導部長

堀越 勝(ほりこし まさる) 訳

国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター 研修指導部 研修普及室長

伊藤 正哉(いとう まさや) 訳

ボストン大学心理学・精神医学教授 不安関連障害センター名誉所長

デイビッド H. バーロウ、ほか 原著

初版 B5判 並製 222頁 2012-04-25

ISBN9784787819499


  

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定価:2,400円+税

不安障害やうつ病といった,感情をうまく扱えなくなる共通の特徴を持った各疾患への,いろいろな認知行動療法を最も効果的なかたちで統一したCBT実践書.治療者による治療用あるいは,患者による自習のために,「感情とほどよくつきあっていくスキル」を身につけるためのエクササイズ・宿題用紙を多数掲載.治療者向けに基本情報や本書の利用法を解説した『セラピストガイド』を併売.

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目次

目 次
推薦の辞
原著者日本版序文
―Unified Transdiagnostic Treatments ThatWork TM について

 第1章感情障害とは? 
  ①感情障害とは? 
  ②この治療は私の症状に合っているでしょうか? 
  ③このプログラムはどのような障害に向けられたものでしょうか?  
  ④どのようにして複数の障害を一度に治療できるのでしょうか? 
  ⑤まとめ
 第2章この治療は自分に合っているのでしょうか? 
  ①治療の概要 
  ②他の治療と同時にこの治療を行うことができるでしょうか? 
  ③このプログラムから得られる効果にはどのようなものがあるのでしょうか? 
  ④この治療にはどれくらいのコストがかかりますか?
 第3章体験の記録をつける 
  ①なぜ記録をつけるのでしょうか?
  ②何を記録するのでしょうか?
  ③まとめ  
 第4章やる気を保ち,治療目標を定める 
  ①やる気(動機づけ;モチベーション)   
  ②決定バランスエクササイズ
  ③実行可能な目標を定める ④まとめ 
 第5章自分の感情を理解する 
  ①どうして感情に注目するのでしょうか?
  ②どうして人には感情が備わっているのでしょうか? 
  ③感情とはどのようなものでしょうか? 
  ④まとめ  
 第6章自分の感情反応に気づき,ふりかえる 
  ①感情体験をモニタリングする―感情のARC(アーク)
  ②感情のARCの具体例
  ③学習された行動(Learned Behaviors)
  ④まとめ 
 第7章感情と,感情に対する自分の反応を観察する  
  ①感情への気づきとは何でしょうか?  
  ②非断定的な感情への気づき―感情と,感情に対する自分の反応を区別する
  ③現在に焦点を当てることの大切さ
  ④現在に焦点を当てた,非断定的な気づきを練習する
  ⑤非断定的な感情への気づきの練習
  ⑥現在にとどまるための日々の練習
  ⑦まとめ 
 第8章思考を理解する―最悪を考え,過度に危険を予測する 101
  ①認知評価
  ②自動評価
  ③思考の落し穴
  ④認知再評価
  ⑤まとめ 
 第9章行動を理解する①―感情の回避  
  ①感情回避
  ②まとめ 
 第10章行動を理解する②―感情駆動行動  
  ①感情駆動行動(EDBs)
  ②回避とEDBsのパターンとは逆の行動をとる
  ③まとめ 
 第11章身体感覚を理解し,向き合う  
  ①身体感覚を理解する
  ②身体感覚に向き合う
  ③繰り返し身体感覚に向き合う 
  ④まとめ  
 第12章実践する―起こっている状況で感情に向き合う  
  ①感情曝露の紹介
  ②感情曝露を練習する
  ③まとめ 
 第13章不安,抑うつ,関連する感情障害に対する薬物療法 
  ①感情障害に対して薬を飲む理由
  ②様々な種類の薬
  ③薬をやめる
  ④まとめ 
 第14章ここから歩き出す―達成を認めて,将来を見据える
  ①感情に対処するスキルのふりかえり
  ②自分の進歩を評価する
  ③計画を立てる
  ④自分自身の治療者になる
  ⑤長期目標
  ⑥進歩を維持する方法
  ⑦困難を予測し,後退に対処する
  ⑧おわりに  
索引 
付録① セルフチェッククイズの答え 
付録② 略語一覧 
付録③ 〔用紙〕一覧

原著者一覧
訳者あとがき
翻訳協力者一覧
訳者紹介

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序文

推薦の辞 
 本書は,広く知られるようになってきている認知行動療法のエッセンスを医療場面で有効に使えるように専門家向けにまとめられた『不安とうつの統一プロトコル 診断を越えた認知行動療法 セラピストガイド』の効果を高める目的で作成された患者さん向けのワークブックです。
 つまり,『不安とうつの統一プロトコル 診断を越えた認知行動療法 セラピストガイド』を使っている専門家の治療を受けるときに,本書を利用すると,認知行動療法の効果が高まるように作られています。ですから,本書で紹介されている方法を使って治療を受けている方は,本書を手に取りながら治療を進めていただくとより効果を実感できるでしょう。
 もちろん本書で使われている方法は,日々のストレスに対処するためにも役に立ちます。私たちは,精神疾患とはっきり診断されなくても,毎日様々なストレスを体験しています。多くの場合は,無意識にそのストレスに対処できているのですが,そうした人でも本書で紹介されているようなストレス対処法を身につけていると,より効果的にストレス状況を切り抜けていくことができるようになります。
 ところで,本書の特徴はどこにあるのでしょうか。それは,どのような精神疾患に悩んでいる人にも使っていただけるように,様々な疾患に使われている認知行動療法の方法をわかりやすくまとめているところにあります。精神疾患には,うつ病,パニック障害,社交不安障害など,多くの疾患があります。そして,そのそれぞれの精神疾患に合うように開発された認知行動療法があります。
 しかし,実際の医療現場を受診される方々は,ひとつの精神疾患にかかっている方だけではありません。うつと不安に同時に苦しんでいる方や,はっきりと病名はつかないものの非常に強い心理的苦痛を感じている方など,様々です。医療機関を訪れるこうした人たちに共通して使える認知行動療法が,本書で紹介されている「診断を越えた統一治療」です。
 ぜひ本書を活用して,苦しみを乗り越えていっていただきたいと願っています。
2012年3月
 大野 裕
 国立精神・神経医療研究センター
 認知行動療法センター センター長


原著者日本版序文

―Unified Transdiagnostic Treatments That Work TM について 


 様々な障害や疾病に直面している人にとって,最良の援助を見つけ出すのは最も難しいことのひとつです。評判の治療者にかかってみたものの,結局その治療者による診断が間違っていたり,勧められた治療が不適切なものであったり,時には有害なものであるといったことを多くの人が体験します。
 ほとんどの患者やその家族は,症状に関する書籍を読めるだけ読んだり,インターネットで情報を検索したり,友人や知人にいろいろ聞いて回ったりもするでしょう。政府や精神保健の政策立案者もまた,最良の治療が必ずしも提供されてはいないことを把握しています。その証拠に,最良の治療は「精神保健においては絶えず変化するもの」と捉えられています。
 現在,世界の精神保健システムはこの最良の治療を「変化するもの」から「エビデンスに支えられた実践」という考えに是正しようとしています。つまり,問題に応じて最新かつ効果的なケアを患者が受けられることに,世界中の人々が関心を持っているのです。精神保健の政策立案者もこのことを自覚しています。行政側は利用者に対してできる限りの情報提供をして,利用者側はそれに対して賢い選択をしていくことによって,協力的に心と身体の健康を改善していくことが重要だと考えられています。
 このシリーズ,Treatments That Work TM はその目標を達成するために企画されました。問題に応じた最新かつ最も効果的な介入法について,それを利用する人の立場に立ってわかりやすく説明しています。このシリーズに選ばれるためには,各治療プログラムは最高水準のエビデンスの基準を満たしていなければならず,これは専属の科学諮し問もん委員会によって決定されています。そのため,心理的な問題に苦しむ人やその家族の方が,本シリーズで紹介している介入の専門家を見つけてそれが適切だと自分でも思えるようでしたら,自分が今,最良のケアを受けているのだと自信を持っていいでしょう。
 本書は,あなたとあなたの治療者が,感情障害の治療に取り組めるように作られています。一般的には,感情障害にはすべての不安障害と気分(うつ病性)障害が含まれます。たとえば,広場恐怖を伴うあるいは伴わないパニック障害,社交不安障害,全般性不安障害,心的外傷後ストレス障害,強迫性障害,抑うつがあげられます。このプログラムはまた,感情障害に密接に関連している心気症や,健康についての過剰な不安に関連した問題,解
離(非現実感)を伴う問題にも取り組めます。
 これらの障害に共通しているのは,過剰で不適切な感情反応が幸せやふつうの生活を送る能力を損なわせる点にあります。たとえば,ある状況やある人に対する過剰な不安や恐怖,あるいは抑うつの感情のせいで生活から楽しみがなくなってしまい,したいことができなくなっているかもしれません。単一の特定の恐怖症については,もしあなたが現在のところその問題のみにしか困っていないのであれば,一般的にいって本書のプログラムは推奨されません。
 あなたの問題がどのような障害であり,どのような障害ではないのかということについて確実に教えてくれるのは,精神保健の治療者だけです。そしてまた,精神保健の専門家だけが,あなたにとって最も適切な治療が何かを判断してくれることでしょう。
 「診断を越えた統一的介入」は,研究と臨床評価のエビデンスに基づいた最も新しい治療であり,日本を含めた世界中で問題となっている,行動的な健康問題に対して開発された治療です。この診断を越えた統一的介入は,共通の特徴を持つ障害群に対する,共通の治療手続きによる治療法です。とりわけ感情障害に対しては,最先端のエビデンスに基づく治療といえます。
 感情障害などの心理的障害の本質についての理解が深まるにつれて,多くの関連する障害には重要な共通の原因があり,また,行動的問題や脳機能も非常に類似していることがわかってきました。これらの障害や問題を関連したもの,あるいは「スペクトラム*」と捉える見解は,一流のセラピストや研究者が現在とっているアプローチです。あるひとつの障害や問題に苦しんでいる人のほとんどは,他にも何らかの問題や障害を持っています(合併comorbidityといわれています)。パニック障害の人は,他に社交不安や抑うつを持っているかもしれません。これらはすべて,感情障害emotional disordersとよばれるものです。
 本書における治療プログラムは“統一unified”のものです。というのも,この治療は感情障害という一群の障害のそれぞれに対して有効な,共通かつ統一的な治療手順であるからです。また,この治療は“診断を越えたtransdiagnostic”ものです。なぜなら,その一群の障害のすべてに対して有効なものとして開発されているからです。ほとんどの人は,ひとつの障害だけではなく,いくつかの一群の障害を抱えています。それに対して,ひとつのセットになった治療諸原則に取り組むことは,患者にとっても治療者にとってもより容
易で効率的なものとなるでしょうし,複数の問題をより包括的てきかつ効果的な方法で取り組むことを可能にしてくれます。
 現在,日本にいる多くの臨床家がこの新しい統一的で診断を越えたアプローチの訓練を受けています。そのため,日本は世界的にみてもこうした先端的なアプローチを提供する最初の国のひとつとなっています。本書のプログラムが,あなたが抱えている感情障害を律し,克服する助けとなることを心より願っております。

 デイビッドH.バーロウ,編集長
 Unified Transdiagnostic Treatments That Work TM
 マサチューセッツ州ボストン


訳者あとがき 
 感情は,生活に潤いや彩りをもたらします。家族との時間をくつろいだり,仕事や趣味に熱中しているとき,そこにはいろいろな心地よい感情があります。そうした感情があるからこそ,人はその時間を大切に過ごしたり,大きな達成に向けて努力を続けたりします。感情は,人生を送るうえで,何が自分にとっての充足や意味を与えてくれるものなのかを教えてくれます。また,心地よい感情状態にいるときには,人はより幅広く物事に関心を持つようになり,新しい探求や行動をして,その自由な創造性を発揮します。
 つらく苦しい感情もまた,人を人間らしくします。大事なものが失われれば,悲しみがわき起ります。その悲しみは,人と人とをつなぎ,あなたに安らぎを与えます。傷つけられれば,恐怖や怒りが残ります。恐怖は危険の察知に役立ち,怒りは相手への威い嚇かくに利用できます。そうして,あなた自身を守る力につながります。また,将来のことを考えて不安になるからこそ,人は細かいところにまで注意を向けたり,他の人のために心遣いをしたりして,予想される出来事に備えられます。
 しかし,つらい感情に圧倒され,ただただ苦しいときがあります。そうしたとき,その感情から逃げようと,感情を無くそうとするかもしれません。逆に,感情をコントロールしようと必死に抗あらがうかもしれません。ぐっとこらえて,不安や恐怖といったつらい感情ばかりか,喜びや楽しさといった心地よい感情にまでフタをして,気持ちを麻ま痺ひさせるかもしれません。そうして封印された感情は,時には,肩凝こりや頭痛,けだるさなどの身体症状として,かたちを変えて現れるかもしれません。
 本書の統一プロトコルには,感情とほどよくつき合っていくためのスキルが集められています。それらはオーケストラの演奏のように注意深く配置されていて,それぞれのピースがつながると,新しい,あなたらしい人生の音楽が奏かなでられるようにできています。
 そのため,本書は「人生の音楽の奏で方をお伝えする本」であるといえます。楽器の弾き方や歌の唄い方を学び,音を調整し調和させるその方法を修得できれば,あとは,どんな曲をどんなふうに奏でるのかはあなた次第です。その音楽を奏でるためには,一つひとつのスキルをしっかりと練習する必要があります。
 練習は面倒くさく,時間がかかり,いやになります。けれども,練習は嘘をつきません。じっくりと集中して,そして,何より好奇心と期待を持って,試行錯誤による学習のプロセスを楽しんでください。スキルを繰り返し試し,時間と労力をかけて,失敗したりしながら,それでも練習を続けることで,効果が得られます。また,プログラムを終えた後も,ときどきは意識的に練習してみるといいでしょう。
 本書で練習するスキルは,世界中の研究者が切せつ磋さ琢たく磨まし,長年の時間をかけて調べた結果,効果があるとわかったものです。練習を重ねて,感情の奏で方を体得して,どうか,あなたらしい生活を歩んでいっていただければと願っています。
 本書の翻訳にご協力いただいた方々に心より感謝の気持ちをお伝えいたします。第13章は古川壽亮先生(京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻健康増進・行動学分野 教授 医学博士)に監修していただきました。快くお引き受けいただき,丁寧にご検討いただきまして,誠にありがとうございます。本書は,診断と治療社の横手寛昭氏のきわめて綿密かつ誠実なお仕事により,ここまでたどり着くことができました。また,診断と治療社の柿澤美帆氏と堀江康弘氏にも心から御礼申し上げます。そして,訳文を確認していただきました,加藤典子氏,大江悠樹氏,関屋裕希氏,中島 俊氏に心より感謝の意をお伝えさせていただきます。
 そして最後に,翻訳過程で訳者らの様々な質問と要望に対して暖かく丁寧にお応えいただきましたデイビッドH. バーロウ博士,トッドJ. ファーキオーニ博士,クリステンK. エラード氏をはじめとしたボストン大学不安関連障害センターの皆様に心より感謝の意をお伝えいたします。
 本書が少しでも,何らかのお役に立てればと心より願っております。
 2012年3月 ボストンにて
 伊藤正哉・堀越 勝