株式会社 診断と治療社

小児科診療 最新号

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雑誌「小児科診療」2023年 Vol.86 No.10 古くて新しい予防接種〜この10年で何が変わったか〜

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掲載論文

序文  /石毛美夏 

Ⅰ.総 論
予防接種法と予防接種基本計画  /岡部信彦 
予防接種スケジュールと接種躊躇者・忌避者への対応  /峯 眞人 
接種に注意を要する場合と対応  /鳥居ゆか・他 
新規ワクチンの開発と展望  /中山哲夫 

Ⅱ.各 論
B型肝炎ワクチン  /乾 あやの・他 
インフルエンザ菌b型ワクチン  /菱木はるか 
結合型肺炎球菌ワクチン  /宮入 烈 
4種混合ワクチン,3種混合ワクチン,不活化ポリオワクチン  /星野 直 
ロタウイルスワクチン  /神谷 元 
BCG  /徳永 修 
麻疹・風疹ワクチン  /西村光司 
水痘ワクチン  /西村直子 
おたふくかぜワクチン  /多屋馨子 
日本脳炎ワクチン  /新井 智 
インフルエンザワクチン  /春日悠岐 
ヒトパピローマウイルスワクチン  /今野 良 
新型コロナワクチン  /森岡一朗 
その他のワクチン  /岡田賢司 

ねらい

石毛美夏  /日本大学医学部小児科学系小児科学分野

 小児科医は子どもの健康を守り成長を支援するなかで予防接種を行います.戦後から1990年前半までは社会防衛の観点が強く強制・義務接種で保健所などの予防接種会場で集団接種として行われていましたが,1994年からは国民の努力義務となりました.集団接種からかかりつけ医による個別接種に変わったことで,日常診療のなかで予防接種を行うようになり,すべての小児科医にとってより身近なものになりました.地域でかかりつけ医として開業している医師や保健所や地域保健センターなどで公衆衛生にかかわっている医師はもとより,高度医療機関で専門分野に特化して勤務している医師でも,患児とその養育者に対して予防接種の話をしない小児科医はいないと思われます.小児科医にとって,予防接種は単なる注射の手技ではなく,理論や背景まで含めた深い知識と現場での応用が必要とされる分野です.
 予防接種は感染症を予防する目的で行われるためその流行状況に影響されるのは当然ですが,新たなワクチンの開発・導入といった医学的な事情や,予防接種法や世論といった社会情勢の影響をうけて,日々変化していきます.以前はわが国では諸外国と比べて接種可能な予防接種の種類が少なく,予防接種制度や体制も改善の余地が多く,ワクチンギャップと揶揄されることもありました.現在では改善されてきていますが,今もなお課題は多く,変化の続く予防接種を養育者の理解のもとに児に安全に行い,社会として感染症の流行を防ぐためには,標準的な接種スケジュールや個々のワクチン情報の確認だけではなく,接種をさけるべき状況の理解や忌避者への対応,新規ワクチンの展望など,日々の知識の更新が不可欠です.
 2013年4月に予防接種法が大きく改正され,予防接種の総合的な推進をはかるために予防接種基本計画が策定されることが決められ,5年おきに見直されています.新型コロナウイルスの流行で少し遅れましたが,10年目の現在,2回目の見直しのための議論が行われており,今後が期待されるところです.
 大変革となった予防接種法の改正から10年経過し,現在の予防接種体制がわれわれ医療者にも保育者にも当たり前となった今,あらためて今とこれからの予防接種のありかたを考える一冊となれば幸いです.
 最後になりますが,執筆の労をおとりいただきました先生方,本誌編集委員会の先生方に深謝いたします.
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