株式会社 診断と治療社

診断と治療 最新号

  • わが国の内科総合誌のパイオニアで,数ある総合誌のなかでも抜群の安定性と評価を誇る.
  • 新進気鋭の編集委員を迎え,最新情報を盛り込み読みごたえ満点.連載企画も充実.
  • 増刊号も毎回シャープな切り口と実臨床に役立つ内容が大好評.
  • 2色刷のビジュアルな誌面で読みやすい.

雑誌「診断と治療」2026年 Vol.114 No.4 慢性疼痛で悩んでいませんか? 困ったときの包括的ガイド

定価:
2,970円(本体価格 2,700円+税)
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掲載論文

カラー口絵
ねらい  鋪野紀好

総論
 慢性の痛み(慢性疼痛)とは?―定義・疾患分類(ICD-11)・疫学データより―  牛田享宏
 慢性疼痛の病態生理学―末梢から中枢神経系のメカニズムと臨床的表現型―  二階堂琢也,松本嘉寛

慢性疼痛の診断
 慢性疼痛患者の問診と身体診察のポイント  船橋英樹,武田龍一郎,石田 康
 慢性疼痛の画像診断とその他の検査  鉄永倫子,鉄永智紀
 心理社会的要因の評価  佐藤史弥
 痛みのスクリーニングツールと評価尺度  大姶良義将,古賀雄二,内野哲哉

慢性疼痛の基本的治療
 薬物療法の基礎と応用  湏藤啓広
 非薬物療法の役割―身体・情動への包括的アプローチ―  中楚友一朗,西原真理

主要疾患別
 神経障害性疼痛(neuropathic pain)の診断と治療  越田晶子,天谷文昌
 ファシア疼痛症候群(FPS)―発痛源としてのファシア―  木村裕明,今北英高,小林 只
 関節疾患に伴う慢性疼痛の診断と治療  加藤諄一,栗原豊明,木村慎二
 慢性腰痛症のメカニズムに基づく治療  稲毛一秀
 がん性疼痛とサバイバーシップケア  伊藤圭一郎,猪狩智生,井上 彰

最新の治療戦略
 神経ブロック療法と侵襲的治療  畔栁 綾,内野博之
 神経障害性疼痛に対する脊髄刺激療法  関原嘉信

慢性疼痛患者への包括的アプローチ
 多職種連携による慢性疼痛管理  杉浦健之,徐 民恵
 痛みの理解とセルフマネジメント支援  冨永陽介
 慢性疼痛患者のケアにおける家族の役割  鈴木岸子
 外来からこぼれる慢性疼痛患者をどう診療につなぐか―SNS活用の可能性と課題―  西村美緒

特別寄稿
父と『診断と治療』  大西 司

連載
何だろ?ちょっとエコーに聞いてみる?
 食後腹痛の原因は?  畠 二郎
弁護士が答えます!法律相談クリニック
 診療ガイドラインと異なる治療を選択する場合の法的リスク  鵜澤亜紀子

ねらい

 「痛み」は外来・病棟・救急・訪問診療など,診療設定を問わず日常診療で最も頻繁に遭遇する訴えの1つであり,とりわけ慢性疼痛は患者の生活機能,心理状態,社会参画にまで影響を及ぼす重要な健康課題である.慢性疼痛は,器質的疾患による疼痛が遷延する場合のみならず,末梢・中枢神経系の可塑的変化,心理社会的因子,睡眠障害や抑うつ・不安などが複雑に関与し,単純な原因探索だけでは理解しにくい.一方で臨床現場では,限られた診療時間のなかで診断未確定の段階でも治療が開始され,非ステロイド性抗炎症薬や鎮痛補助薬などの薬物療法に偏った対応となることも少なくない.その結果,効果不十分,治療の長期化,医療資源の過剰利用,患者-医療者関係の悪化といった問題を招くことがある.
 本特集は,頻度が高く診療の難度も高い慢性疼痛を取り上げ,臨床医が「慢性疼痛を疾患として捉え直し,構造化して評価し,適切に介入する」ための実践的な枠組みを提供することを目的とする.その中心となるのが,生物・心理・社会モデルに基づく統合的評価である.すなわち,疼痛の病態を器質的要因に限定せず,神経障害性疼痛や中枢性感作を含めた機序の理解,レッドフラッグの見極め,疼痛強度のみならず生活機能・睡眠・心理面・社会的背景を評価する視点を整理し,患者の「困りごと」に焦点をあてた治療目標設定へとつなげる.
 本特集の特徴は,実地医家が明日の診療から活用できる具体的な診療アルゴリズム,問診・身体診察のポイント,治療の組み立てかた,患者への説明の工夫といった「実践的アプローチ」を多数盛り込みつつ,その背景にある病態生理や認知・行動の理解,慢性疼痛の捉えかたといった「理論的基盤」もていねいに扱っている点にある.実践と理論のいずれかに偏るのではなく,両者を行き来しながら理解を深められる構成とし,診断が難しい,治療反応が乏しい,患者-医師関係が悪化しやすいといった困難な慢性疼痛に対しても,再現性をもって対応するための一助となるよう心がけた.
 さらに,慢性腰痛,頭痛,線維筋痛症,術後疼痛,がん関連疼痛など代表的病態をテーマに,鑑別の要点,薬物・非薬物療法の適切な選択,リハビリテーションや心理的介入の位置づけ,専門医紹介や多職種連携のタイミングを具体的に解説する.加えて,長期フォローに不可欠な患者教育や自己管理支援,アウトカム評価の考えかたも取り上げ,地域医療を含む多様な診療現場で実装可能な慢性疼痛診療のスタンダートを提示している.
 また,本特集は慢性疼痛診療の第一線で活躍するエキスパートが執筆を担当し,最新知見と豊富な臨床経験に基づいた実践知を提供している.慢性疼痛に対する臨床医の理解と対応力を高め,患者の生活機能改善と診療の質向上に資する1冊となれば幸いである.

千葉大学大学院医学研究院地域医療教育学
鋪野紀好
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