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小児科診療 最新号

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雑誌「小児科診療」2025年 Vol.88 No.5 小児の下痢をもっと知ろう!

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掲載論文

序 文 工藤孝広 

Ⅰ.下痢について詳しく知る
正常な排便と下痢の定義  /萩原真一郎 
下痢の分類  /吉田正司 
注意すべき随伴症状  /垣内俊彦・他 
難治性下痢症診断の手引き  /虫明聡太郎 

Ⅱ.慢性下痢を診たら行うべき検査
血液検査  /倉沢伸吾 
便検査  /髙木祐吾 
消化吸収試験  /近藤健夫・他 
消化器画像検査  /宮田恵理 
消化器内視鏡検査  /岩間 達 

Ⅲ.下痢を呈するおもな疾患
感染性胃腸炎  /齊藤博大 
クロストリジオイデス・ディフィシル腸炎  /梶 恵美里  
乳児難治性下痢症  /津村直弥・他 
トドラーの下痢症  /佐藤友紀 
過敏性腸症候群  /細井賢二 
食物蛋白誘発胃腸症,好酸球性胃腸炎  /梅津守一郎 
炎症性腸疾患  /柏木項介・他 
免疫不全患者の下痢  /石毛 崇 
遺伝子変異を伴う難治性下痢症  /宇佐美雅章 

原 著
小児の診療におけるFilmArray®髄膜炎・脳炎パネルの有用性  /佐伯尚美・他 

ねらい

工藤孝広  /順天堂大学医学部小児科学講座

 下痢症状は日常診療のなかでもふれる機会が多い症状の1つです.実際には急性疾患が多いと思いますが,ときには急性の下痢で改善せず,2週間以上に下痢が持続する慢性下痢症の場合があり診断や治療に困ることもあります.また,症状や経過,検査結果から確定診断を導いていくことが多いのですが,消化管は外見から判断することが難しく,消化管に関係する検査などから原因疾患を推測していく必要があります.さらに,消化吸収障害がある場合には栄養評価,成長評価,発達評価も重要であるため,成長曲線や発達評価表にプロットすることも適宜実施していくことを推奨します.
 本特集では,下痢の病因,病状の把握とともに診断するための検査,慢性下痢症のおもな疾患群について解説しています.また,厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業「小児期から移行期・成人期を包括する希少難治性慢性消化器疾患の医療政策に関する研究」(研究代表:田口智章)と日本小児栄養消化器肝臓学会が協力して「難治性下痢症診断の手引き」が2021年に発刊され,小児難治性下痢症の診断アルゴリズムや原因疾患とその診断までのフローチャートが掲載されていることから,下痢に対する考え方や実施すべき検査,診断までの過程に対する苦手感を緩和できるのではないかと考えます.体外からは見えない腸管に関連した下痢症について小児科医であれば知ってほしい情報を網羅して作成できたと思います.
 第Ⅰ章では下痢について詳しく知るために正常な便と下痢の違い,下痢の定義と分類,難治性下痢症の診断の手引きなどを詳細に記載いただきました.第Ⅱ章では慢性下痢症について診断するために行うべき検査についてまとめられています.血液検査,便検査などの一般的に実施可能な検査から,消化管の消化吸収能力をみる機能検査,専門施設便検査として,潜血,消化吸収検査,蛋白漏出関連検査,炎症マーカー,感染症関連の検査を網羅しています.第Ⅲ章では慢性下痢症を呈するおもな原因疾患の詳細を示しています.それらの疾患には希少なものもありますが,どの疾患も非常に重要であり知っておくべき疾患を網羅しました.下痢,特に慢性下痢症の基礎知識から下痢症状を呈する各施設でも実施可能な血液検査から専門医師でないと判定が難しい検査まで1つに集約させましたので,実に勉強になる特集になったと考えます.
 最後に,今回の特集号が充実した内容になりましたのは,多大な時間を要してご執筆いただいた多くの小児消化器疾患専門医の先生方からのご協力の賜物でございます.心より感謝申し上げます.
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