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小児科診療 最新号

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  • 「増刊号」を年2冊、「特大号」を年1冊発行.読者の厚い信頼に応える内容で日常診療に不可欠な情報満載.

雑誌「小児科診療」2024年 Vol.87 No.2 米国の小児医療・卒後教育の現状と臨床留学への手引き

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掲載論文

序 文  /大石公彦

Ⅰ.米国の小児医療を取り巻く現状
視野を広げて前進を続ける  /大石公彦
米国臨床留学・新しい時代における目的と意義  /津田 武
米国小児科医療の診療体制  /髙城大治
米国における移行期医療の取り組み  /伊藤誠治・他
米国の卒後教育,専門医制度  /成相宏樹
米国の小児科レジデントプログラムディレクターの心構えとレジデントに対する想い
 ~Jessica Reid-Adam先生とのインタビュー~  /Jessica Reid-Adam・他

Ⅱ.小児科臨床留学の準備
臨床留学に必要な資格取得の準備  /松浦有佑
臨床留学の時期を考える  /佐々木 潤
米国におけるレジデンシーポジションの応募,インタビュー,マッチング  /古田 穣
米国臨床留学のためのビザ  /高橋卓人
英語の習得  /桑原功光
N Programの紹介  /西元慶治

Ⅲ.米国での仕事や生活
小児の地域医療に携わる医師として  /成相枝織
米国での生活 #1 研修期間中の生活  /小野博也
米国での生活 #2 子育てや女性の活躍について  /佐々木奈央
米国での生活 #3 研修終了後の生活  /石塚万貴
米国での生活 #4 渡米してからの家族との生活,苦労,出会いなど  /今村壽宏
米国で活躍する日本人小児科医の日本との連携  /安田 幹
米国におけるクリニカルリサーチの実践  /西崎 彰
帰国か永住かの選択 #1  /大宜見 力
帰国か永住かの選択 #2  /鈴木麻也

原 著
神経性やせ症入院例とCOVID-19流行  /森 和徳・他

ねらい

大石公彦 /東京慈恵会医科大学小児科


 日本の医療系テレビドラマ には, 一般常識とはかけ離れた診療技術をもつスーパードクターが登場します.米国医療の第一線で活躍し,一流病院から凱旋帰国という経歴がよくあるシナリオです. 現実には,外科系の医師の世界でしかみられそうもないまれなことでしょうが,日本ではできなかった困難な手術をやってのける医師を養成する米国の医療に若い頃の筆者は憧れたものです.長じて, 多くの縁に恵まれて米国での小児科臨床医としてのキャリアを目指すことができました.ドラマのスーパードクターのようにはなれませんでしたが,自分なりに多くの貴重な経験をし,本特集で執筆をしてくださった米国の日本人小児科医たちをはじめとする多くの友人を得ることができました.
 2年前に米国から帰国し,若い小児科医を指導する立場になりました.自身が米国で経験したことをいかに彼らのキャリアや日本の小児医療のために還元するかということが,現在の筆者の課題です.しかし,筆者一人でできることは限られています.同じような境遇をもった仲間の協力を得ながら何とかしたいという気持ちで編集させてもらったのが,この「米国の小児医療・卒後教育の現状と臨床留学への手引き」の特集号です.
 景気や社会構造の変化による若者の内向き志向が懸念されるようになり,海外留学を目指す人も少なくなっているという話をよく耳にします.ところが,実際には優秀な日本の若者たちが毎年数名ずつ米国小児科のレジデント一年生として渡米しています.さらに,レジデントとしての研修後も専門性を高めるためのトレーニングを積み,小児医療の様々な分野の臨床現場で活躍しています.その影響もあり,これまでに米国で評価を得た先輩医師が若い小児科医たちの機会を広げるという相乗効果が生み出されています.現在では多くの日本人小児科医が全米の各都市で専門医を目指して研鑽に励み,次世代の教育,研究,地域医療への貢献をしています.
 日米双方の医療を経験した筆者の目には,米国の医療がすべての面において日本に優っているようにはみえません.しかし,改良をくり返してきた卒後教育システム,エビデンスの創出,そのエビデンスに基づいた医療,ワークライフバランスへの取り組みなど,学ぶことは多くあります.また,医療の進歩による新規医薬品の開発,疾病構造の変化,コロナ禍などによる人々の行動様式の変容,予防医学への意識の向上など,小児医療を取り巻く環境は最近米国でも大きく変わってきており,それらに対して米国でどのように取り組んでいるかを知ることにも意義があると考えています.
 将来,米国の小児医療での修練に挑戦する若手小児科医へのサポート,そして,今後の日本の小児医療をさらによいものにするために尽力されている先生方への情報提供を目指して企画したものが本特集号です.米国の小児医療の様々なフィールドで活躍されている仲間の先生方に執筆していただきました.彼らの原稿の内容には,筆者自身の経験や所感と重なることも多く,当時を振り返るよい機会にもなりました.本特集を通じて,米国での実際の医学教育,小児医療,環境,プライベートな生活,臨床留学のための準備に至るまで,これまでにはなかった生の声を反映したリソースを提供することができたと自負しています.今後の日本の小児医療の発展,若者の世界への挑戦に少しでも貢献できればと願います.

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