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小児科診療 最新号

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雑誌「小児科診療」2024年 Vol.87 No.4 新生児・乳児の感覚に寄り添う

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掲載論文

序 文  /北東 功 

Ⅰ.感覚器の発生と発達
触覚の発達  /佐藤和夫 
味覚の発達  /成川真隆・他 
嗅覚の発達  /三輪高喜 
視覚の発達  /羅 秀玉 
聴覚の発達  /小森 学 
五感と母子関係  /渡邉久子 
Ⅱ.感覚を養う
親子間相互作用における身体接触  /田中友香理 
食べ物の大切さ(視覚・味覚・嗅覚・触覚)  /向井美惠 
語りかけの大切さ(聴覚・視覚)  /梶川祥世 
視覚発達における視覚経験の重要性  /加藤正晴 
Ⅲ.新生児・乳児の成育に必要な環境
家庭での育児に適した環境作り  /三輪雅之 
病院での育児に適した環境作り  /田中太平 
感覚過敏の児に適した家庭環境作り  /水口 崇 
視覚障害児に適した家庭環境作り  /三科聡子 
聴覚障害児に適した家庭環境作り  /太田有美 

原 著
1診療所における百日咳と診断した症例とワクチンの実際  /五十嵐麻依子・他 

ねらい

北東 功  /聖マリアンナ医科大学新生児科

 感覚,いわゆる五感とはご存じのように味覚,嗅覚,視覚,聴覚,触覚です.かつて,新生児は痛みを感じていないという誤ったことが信じられていた時期もありましたが,現在では,痛み刺激を代表とするこどもにとってよくない刺激は発達にも悪影響があることや,触覚や嗅覚は新生児期から実はかなり発達しているということが知られています.一方で,母子・親子関係は本来五感や気持ちを頼りに育くまれてゆくものですが,感覚的な育児ができない親が多くなっているといわれています.医療従事者もそういったことを大切にしなくなっているようにときに感じることがあります.とはいえ,小さいこどもほど五感を使って生きています.また,こどもに接するときにはわれわれ小児科医も五感をフルに活用してかれらの出すサインを捉える努力をしているのではないでしょうか.そこで,われわれがこどもに寄り添うために必要なのはわれわれの感覚であるということ,こどもたちの五感の発達にはわれわれが寄り添うことが必要であるということ,の2つの意味を込めて,本特集は新生児・乳児の感覚に寄り添うというタイトルで纏めさせていただきました.
 感覚に寄り添うためには,こどもたちの見ている世界や感じている世界がどういうものなのかを理解することから始まると思いますので,Ⅰ.「感覚器の発生と発達」ではそれぞれの感覚器の発生と乳幼児期までのそれぞれの感覚器の機能の発達について解説いただきました.それらを総括する形で母子関係と五感の重要性について解説をしていただいております.本来であれば感覚は自然に獲得してゆくものですが,都市化してしまったわが国で,こどもたちの感覚を適切に養うことは困難なことになっているのではないでしょうか.そこで,Ⅱ.「感覚を養う」として,こどもたちとの触れあい,語りかけ,食事,見ることを通じてどのようにこれらの感覚を養えるのかについて解説いただきました.Ⅲ.「新生児・乳児の成育に必要な環境」では,感覚を育むための環境について,家庭環境や病院環境をどのようにするとこどもたちにとって心地よいのか,また,感覚過敏や一部の感覚に問題を有する児にとってどういったものがよいのかについて解説いただいております.
 寄り添うというテーマでの執筆をご依頼させていただいたご執筆者の方々にはご苦労をおかけしたように思いますが,すべての原稿が“感覚に寄り添う”内容となっていると思います.したがって,もちろん医学的にも重要なことが書かれておりますが,われわれの心に訴えかけるような内容となっており,寄り添うというタイトルにふさわしい内容になったと思われました.
 こどもの感覚についてまとまった形で専門家に執筆された特集はこれまであまりなかったように思います.日常診療や健診などにおいて,健常児や病児の育児について両親へのアドバイスを行ったり,こどもたちの感覚に寄り添うべく,入院中のこどもへの接し方を検討していただいたり,病室の環境調整に利用していただいたりして日頃の診療に役立ててくださると幸いです.
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