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小児科診療 最新号

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雑誌「小児科診療」2024年 Vol.87 No.10 つながる内分泌学

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掲載論文

序 文  /鹿島田健一

Ⅰ.現在から未来へつながる
あらためて考える,ホルモンとは?:内分泌学の魅力を知ろう!  /長谷川行洋
大きく広がる,ホルモンの臨床  /有安大典

Ⅱ.小児から成育につながる
新しい内分泌学1 新生児内分泌学とは?  /岩永甲午郎 
新しい内分泌学2 AYA世代を考える  /丸 光惠
新しい内分泌学3 プレコンセプションケアを考える  /羅 ことい・他

Ⅲ.多臓器につながる
実は内分泌臓器だった 腎臓1(レニン)  /張田 豊
実は内分泌臓器だった 腎臓2(尿細管)
 ―腎尿細管におけるアルドステロン作用―  /安達昌功
実は内分泌臓器だった 心臓(HANP BNP)  /山口洋平
実は内分泌臓器だった 脂肪組織(アディポカイン)  /杉本 哲・他
実は内分泌臓器だった 消化管  /川井正信
実は内分泌臓器だった 骨(FGF23 オステオカルシン)  /長谷川高誠
実は内分泌臓器だった 脳1(オレキシン)  /船戸弘正
実は内分泌臓器だった 脳2(オキシトシン)  /菊水健史

Ⅳ.先端医療につながる
再生医療1 膵β細胞  /畑野 悠・他
再生医療2 生殖細胞  /林 克彦
核酸医薬1 アンチセンス核酸  /中山東城
核酸医薬2 RNAアプタマー薬  /木村武司

原 著
難治性川崎病におけるInfliximab投与後の追加治療の検討  /櫨木大祐・他

症例報告
サッカーによる鈍的外傷が関与したと考えられた骨膜下膿瘍を伴う
 急性化膿性骨髄炎の一例  /久保田悠介・他

ねらい

鹿島田健一
/東京医科歯科大学(TMDU)大学院医歯学総合研究科発生発達病態学分野(小児科)

 「内分泌」とは,細胞から分泌された生理的活性をもつ物質(ホルモン)が循環血液中を介して,標的臓器に運ばれ,標的器官特異的に生理的な刺激を与える身体のしくみです.一言で言えば,「血流を介し,遠隔の臓器をつなぐ情報伝達機構」,です.そのしくみのどこかに異常が生じれば様々な身体機能の不具合が生じ,内分泌疾患となります.またそのしくみを利用すれば,多様な薬剤や治療法の開発の基盤となる,大きな医療的可能性を秘めた分野でもあります.
 近年の内分泌領域の進歩は著しく,視床下部-下垂体,甲状腺,性腺,副腎など,古典的な内分泌臓器に加え,様々な臓器(脳,心臓,骨,腎臓,脂肪細胞 など)がホルモンを産生する内分泌臓器であることが判明し,新たな臓器として加わりました.さらには,そうした知見から新たな薬剤開発(HANP,CNP,レプチン,エリスロポエチン,抗FGF23抗体 など)に結びつきました.
 またホルモンの測定技術の向上や遺伝学的な理解の進歩は,小児内分泌領域を押し広げました.さらには少子化のなか,小児の難治疾患は単なる治療だけではなく,罹患者のウェルビーイングが求められる時代となりました.これらは,新生児内分泌学という新たな領域や,AYA世代(二次性徴に関する医療や,1型糖尿病の中高生の管理など)といった,新たな専門医療領域を生み出し,それらに対する深い理解と技能が要求されるようになりました.そうしたなか,我々小児科医に求められているのは,それぞれのライフステージに注目した医療だけではなく,それをつなぎ,一人の人生を形作る医療の提供です.
 さらに,内分泌の展開は思いもかけない広がりをみせています.ホルモンが臓器同士をつなぎ,個人をつくるだけでなく,個人をつなぎ社会をつくるうえで大切な働きをもつ可能性が示されています(オレキシンによる絆の形成).我々の未来を理解するうえで,内分泌学は様々な社会的な示唆を与えてくれるかもしれません.
 振り返れば,内分泌学はこれからの様々な医療が向かう新しい局面を端的に表す多くのモデルを内包するといってよい分野です.本特集では,日頃の診療に役立つことはもとより,未来の医療を広く考える契機になるようにと構成しました.本特集が,内分泌学の可能性とその面白さを知っていただく機会になれば,幸甚です.
 最後に,本特集では,小児内分泌のレジェンドから,小児内分泌領域や各臓器別部門で輝く先生方,基礎領域では国内はもとより世界の第一人者の方に執筆いただきました.これらの質の高い原稿から私自身,多くのことを改めて学ぶ機会となりました.この場を借りて,多忙ななか,原稿を執筆いただきました先生方に深謝申し上げます.
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