【1月27日発売予定】心エコーを撮らない人のための心エコー読み方ガイド
定価:4,950円(税込)
心エコー画像を判読・診断するための成書が数多く出版されている一方,心エコー図を描出する技術を習得するための簡便な参考書はあまりみられない.求められる画像を的確に描出するには,さまざなバリエーションに対応できる臨機応変の技術が必要である.書籍という限られた表現方法では,そうしたニーズに対応できないことが大きな理由であろう.しかし,実際の心エコートレーニングをいきなり色々なバリエーションで始めることはない.やはり最初は,観察しやすい健常者をモデルに選んで,基本的な描出方法をトレーニングするはずである.まったくの初心者が現場でいきなり心エコーを行うことはないし,そんなことがあってはならない.
本書は,初心者や学生実習,研修医の方達が健常者モデルでトレーニングする際の参考書として企画されたものである.被検者の体位の取り方から検者のポジションや実際の手元写真・エコー画像をふんだんに使い,基本的な描出技術を習得できるように編集してある.筆者自身がこれまでに経験したさまざまな実習型講習会資料の中から,初心者が陥りやすい問題点を自分なりに整理し,その解決方法をまとめたつもりである.
熟練の先輩や指導者のいない施設で心エコー検査に孤軍奮闘している技師の皆さん,技師学校で十分な描出トレーニングができなかった学生さん,必要に迫られて心エコーを行わなければならない研修医の方達などに,本書がいくらかでもお役に立てたら幸いである.
本書は,心エコー図を描出する際のポイントならびに観察すべきポイントに的を絞り,これらについて画像やイラストを「見て理解する本」である.したがって,心エコー図の判読や診断,さらに各疾患の病態やエコーの特徴などについては,本書の範囲を超えるものであり,他の成書をぜひご覧いただきたい.
最後に,本書の刊行に当たり多くの方々のお力添えをいただいた.東京都済生会中央病院臨床検査科の大友雅子技師,藤井幸太郎技師にはポジショニングの撮影に夜遅くまで時間をいただき,まさに身体を張ったご協力に感謝申し上げる.また,佐川由加里技師以下心機能検査室技師からは多くの症例データをご提供いただいた.この場をかりて,そのご厚情に心より厚くお礼申し上げる.
2011年11月 著者
1 超音波診断装置─装置の設定
2 探触子(probe)
3 体位と検者のポジショニング
4 傍胸骨アプローチ
5 心尖部アプローチ
6 その他のアプローチ
7 心腔計測
8 ドプラ法
付録 ルーチンの流れ