株式会社 診断と治療社

ライソゾーム病―最新の病態,診断,治療の進歩― 改訂第2版

多くの遺伝性疾患のなかでも診断法・治療法がもっとも進歩したといわれるライソゾーム病について,早期診断と治療に必要なすべてを,第一線で活躍する専門家が最新情報にアップデート.近年新しい治療法が次々と見出されている酵素補充療法,薬理学的シャペロン療法,基質合成抑制療法などの成果を詳述.また,患者の成長や医療環境の変化に伴って直面する移行期医療,在宅医療の取り組みと今後の展望についても紹介.
  • 一般財団法人脳神経疾患研究所先端医療研究センター センター長&遺伝病治療研究所 所長/東京慈恵会医科大学 名誉教授 衞藤 義勝責任編集
  • 埼玉医科大学ゲノム医療科希少疾患ゲノム医療推進講座 特任教授 奥山 虎之責任編集
  • 東京慈恵会医科大学 特命教授 井田 博幸編集
  • 東京慈恵会医科大学医学部看護学科健康科学疾病治療学 教授 大橋 十也編集
  • 国立成育医療研究センター遺伝診療センター遺伝診療科 診療部長 小須賀 基通編集
  • 大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻成育小児科学 教授 酒井 規夫編集
  • 熊本大学大学院生命科学研究部小児科学講座 教授 中村 公俊編集
定価:
9,900円(本体価格 9,000円+税)
発行日:
2023/10/11
ISBN:
9784787825971
頁:
297頁
判型:
B5
製本:
並製
在庫:
在庫あり
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序文

改訂第2版
序文

 『ライソゾーム病―最新の病態,診断,治療の進歩―』初版は診断と治療社より2011年5月に出版され大変好評を博しました.その後12年が経過し,ライソゾーム病における病態,診断,治療は,文字通り長足の進歩を遂げております.多くの遺伝性疾患のなかでもライソゾーム病は診断法,治療法がもっとも進歩した疾患といえます.
 ライソゾーム病研究の進歩により,ライソゾーム病関連の疾患数も増えております.特にライソゾーム病膜蛋白異常症,ライソゾーム関連疾患,オートファジー関連疾患などライソゾーム病の範疇に入る疾患が増えており,現在では70種類以上を数えております.また,近年はライソゾーム病の主要疾患について厚生労働省難治性疾患政策研究事業の一環としてガイドラインも作成され,本書でも紹介しております.さらに,最近では診断面においても質量分析器を用いた病態の解明,診断法の進歩により,ライソゾーム病の早期診断と治療のためのハイリスクスクリーニング,新生児マススクリーニング法への質量分析器の応用など,大きな進歩がみられております.
 治療法では,新しい酵素補充療法以外にも薬理学的シャペロン療法,基質合成抑制療法などの経口治療薬が開発されております.COVID-19のパンデミック感染が拡大するなかで,経口薬の有用性が改めて注目されるところとなり,本書でも,最新の動向を踏まえて刷新して頂きました.また,アデノ随伴ウイルスベクターあるいはレンチウイルスベクターを用いた遺伝子治療も臨床治験がされており,将来の画期的治療法として取り上げて頂きました.
 こうしたライソゾーム病における臨床,診断,治療の進歩に鑑み,最新情報をより多く伝えられるように,全国のライソゾーム病研究の第一人者に執筆をお願いし,時間の限られたなかで優れた原稿をまとめて頂き,ここに第2版が完成しました.本書を出版するにあたり,お忙しいところご執筆と編集に携われた多くの先生方に感謝致しますと同時に,多大なご協力を頂いた診断と治療社の方々にも心から感謝の意を表します.

2023年9月
『ライソゾーム病―最新の病態,診断,治療の進歩― 改訂第2版』責任編集
一般財団法人脳神経疾患研究所先端医療研究センター センター長
東京慈恵会医科大学 名誉教授
衞藤義勝
埼玉医科大学ゲノム医療科希少疾患ゲノム医療推進講座 特任教授
奥山虎之

目次

目  次

 改訂第2版 序文  衞藤義勝,奥山虎之
 初版 序文  衞藤義勝
 編集・執筆者一覧

第1章 総  論
A ライソゾーム病の基礎
1 ライソゾーム病の歴史  衞藤義勝
2 ライソゾームの機能と取り込み機序  寺脇正剛,森脇隆仁,大友孝信
3 ライソゾームの生成と膜代謝  高橋 勉
4 ライソゾームの糖脂質代謝  兎川忠靖,月村考宏
5 ライソゾームのムコ多糖代謝  鈴木康之
6 糖蛋白質の生合成とライソゾームにおける分解  大橋十也
7 ライソゾーム膜蛋白と機能異常  嶋田洋太
8 オートファジーとライソゾーム病  森脇隆仁,大友孝信
9 ライソゾーム病における神経炎症  芳野 信
10 iPS細胞を用いたライソゾーム病の病態・治療への研究  佐藤洋平,河越しほ
11 ライソゾーム酵素の立体構造とライソゾーム病  櫻庭 均,齋藤静司
12 ライソゾーム病の中枢神経障害の機序と治療
:BBB通過の機序と治療へのアプローチ  衞藤義勝

B ライソゾーム病の臨床
1 ライソゾーム病の遺伝  大橋十也
2 ライソゾーム病の臨床  井田博幸
3 ライソゾーム病の画像診断(X線,MR,CTほか)  佐藤孝俊,石垣景子
4 ライソゾーム病におけるQOLとADL  坪井一哉

C ライソゾーム病の診断
1 形態学的診断法  福田隆浩
2 生化学的診断法(酵素診断,化学分析)  酒井規夫
3 分子遺伝学的診断法  難波栄二

D ライソゾーム病の治療
1 治療の概説  衞藤義勝
2 対症療法(薬物,その他)  成田 綾
3 リハビリテーション,気道確保法,栄養摂取法  成田 綾
4 造血幹細胞移植(HSCT)  山本将平
5 酵素補充療法(ERT)  小林正久
6 基質合成抑制療法(SRT)  櫻井 謙
7 薬理学的シャペロン療法(PCT)  濱崎考史
8 細胞治療・再生医療―現状を打破するために  櫻井 謙
9 中枢神経障害の治療―神経症状を伴うライソゾーム病の治療  奥山虎之
10 遺伝子治療①―概論  小林博司
11 遺伝子治療②―AAV遺伝子治療  村松慎一
12 遺伝子治療③―レンチウイルス遺伝子治療  嶋田洋太

E ライソゾーム病のスクリーニング
1 総論―先天代謝異常症のスクリーニングの現状  服部裕介,中村公俊
2 ライソゾーム病の新生児スクリーニング  澤田貴彰,中村公俊
3 ライソゾーム病のハイリスクスクリーニング  鈴木 健,衞藤義勝

F ライソゾーム病の遺伝カウンセリング
1 ライソゾーム病の遺伝カウンセリング  四元淳子,奥山虎之


第2章 各  論
A 脂質代謝異常症
1 ゴーシェ病  井田博幸
2 ファブリー病  小林正久
3 ニーマンピック病A,B型(酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症)  高橋 勉
4 セラミドーシス(ファーバー病)  田嶼朝子
5 GM1ガングリオシドーシス,モルキオ症候群B型(β-ガラクトシドーシス)  渡邊順子
6 GM2ガングリオシドーシス  渡邊順子
7 異染性白質ジストロフィー(MLD)  酒井規夫
8 マルチプルスルファターゼ欠損症(MSD)  高木篤史,田嶋華子,右田 真
9 クラッベ病  酒井規夫
10 サポシン欠損症  松田純子
11 ウォルマン病,コレステロールエステル蓄積症(CESD)  村上 潤

B ムコ多糖症(MPS)
1 ムコ多糖症(MPS)I型  奥山虎之
2 ムコ多糖症(MPS)II型  小須賀基通
3 ムコ多糖症(MPS)III型  知念安紹
4 ムコ多糖症(MPS)IV型  小須賀基通
5 ムコ多糖症(MPS)VI型  古城真秀子
6 ムコ多糖症(MPS)VII型  濱崎考史

C 糖蛋白代謝異常症
1 フコシドーシス  酒井規夫
2 マンノシドーシス(α,β)  酒井規夫
3 アスパルチルグルコサミン尿症  宮島任司,衞藤義勝
4 ガラクトシアリドーシス  月本 準,伊藤孝司
5 ムコリピドーシスII,III型  大友孝信
6 シアリドーシス  松田純子
7 神崎病  金蔵拓郎

D ライソゾーム膜代謝異常症
1 シスチノーシス  小須賀基通
2 遊離シアル酸蓄積症(サラ病)  角皆季樹
3 カテプシンK欠損症  角皆季樹
4 コバラミン代謝異常症F型(CblF)  渡邊順子
5 ダノン病  衞藤 薫


E 糖原病
1 ポンペ病  石垣景子

F コレステロールトランスポート代謝異常症
1 ニーマンピック病C型(NPC)  成田 綾

G 神経セロイドリポフスチン症(NCL)
1 神経セロイドリポフスチン症(NCL)  衞藤 薫

H ライソゾーム病の医療
1 移行期医療  高橋 勉
2 在宅治療可能となったライソゾーム病―在宅酵素補充療法の実際  山川裕之

I ライソゾーム病の診断施設
1 ライソゾーム病の診断施設  角皆季樹

J ライソゾーム病の特定疾患の申請方法
1 ライソゾーム病の特定疾患の申請方法  西山由梨佳

K ライソゾーム病の患者会
1 ライソゾーム病の患者会  西山由梨佳

 索  引

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