小児のリハビリについて長い実績を有する著者達が小児の高次脳機能障害についてわかりやすく具体的実践的な視点からをまとめた1冊.障害の解説から家族のケア・復学・授業の工夫などまで幅広い内容を取り上げた.医師やリハ関係者だけでなく,教員や患者家族にも読みやすい内容.
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目次
わかりやすい小児の高次脳機能障害対応マニュアル
目次
序 文
第1章 高次脳機能障害とはどのようなものですか
A 高次脳機能障害とはどのようなものですか
B どのような時に高次脳機能障害を生じるのですか
C 子どもの高次脳機能障害の特徴はどのようなものですか
D 子どもの高次脳機能障害の症状はどのようなものですか
E 子どもの高次脳機能障害はどのようにして診断するのですか
第2章 何が原因で高次脳機能障害がおこるのですか
A 子どもの脳外傷
B 子どもの急性脳症
C 子どもの低酸素性脳症
D 子どもの脳血管障害
第3章 高次脳機能障害にはどのように対応するのですか
A 対応する時のポイントは何ですか
B 親の心構えは何が必要ですか
C 家族への支援はどのようにしたらよいですか
D 兄弟姉妹への支援はどのようにしたらよいですか
E 高次脳機能障害の子どもに使う薬はどんなものがありますか
F 復学にあたってのチェックポイントは何ですか
G はじめて学校ヘ戻る時のコツ
H 教育上の支援システムにはどんなものがありますか
I 学校での対応のコツは何ですか
J 学習を進めるコツは何ですか
K 個別教育計画作成のコツは何ですか
L 学校やクラスが変わる時に考えるべきことは何ですか
M 軽症の脳外傷の後に問題を生じた子どもへの対応はどうしますか
N 自立生活を送るためのチェックポイントは何ですか
O 子どもに役立つ社会的情報はどんなものがありますか
第4章 それぞれの障害へは,具体的にどう対応すべきですか
A 記憶障害
B 注意障害
C 遂行機能障害
D 半側空間無視
E 失語
F 失行
G 失認
H 感情コントロール低下
I 対人技能拙劣
J 固執性
K 意欲・発動性の低下
L 病識欠落
M 疲れやすい
N 依存性・退行(幼児化)
O その他
付録「小児の高次脳機能障害とその対応」
―神奈川県立秦野養護学校かもめ学級編集資料より―
索引
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序文
序 文
著者が20年来勤務している神奈川リハビリテーション病院は,子どもの後天性脳損傷に対するリハビリテーションに力を入れている.
小児科の先生からは急性脳症や低酸素性脳症で障害をもってしまった子どもたちを,脳神経外科の先生からは脳外傷や脳血管障害で障害をもってしまった子どもたちを紹介していただき,平均2カ月の入院による集中リハビリテーションを行って,子どもたちが地域に戻っていくお手伝いをさせていただいている.本来,リハビリテーションというものは,子どもの家から近いところで,家族と一緒に,また子どもに関わる人たちと一緒に進めていくものである.
しかし,子どもの後天性脳損傷に対するリハビリテーションを充分に行える病院は現在の我が国にはいくつかしかないので,北海道から九州まで全国各地から子どもが当院に受診しにきている.
現在の我が国では脳性麻痺・自閉症・注意欠陥/多動性障害など生まれつき,ないしは生まれてまもなくからの障害に対する療育・教育システムはある程度できあがっている.そのシステムの中で,後天性脳損傷の療育・教育が全国どこででも充分に行われるようになって欲しいと思っている.
後天性脳損傷の療育・教育のキーポイントの1つが高次脳機能障害に対する支援である.高次脳機能障害に対する支援の一助になって欲しいという願いをこめて,当院の院内学級の先生方と一緒に書いたのが本書である.本書に先駆けて1年前に「小児の高次脳機能障害(診断と治療社)」の本を出版させていただいたが,その本で書き足りなかった具体的な対応法について書き加えさせていただいた.対象となる子どもは小学生年齢が中心で,学校の先生と家族が読みやすいかたちで書かせていただいた.
本書が,高次脳機能障害に困っている子どもと,その子どもをとりまく多くの人の役に立てると嬉しい.
2009年 5月
栗原 まな